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村上島之允 (1809), p.631
イトラスケといふは、イトは鼻をいひ、ラスケは截るをいひて、鼻を截るといふ事也。
是は不義に女を犯したる者を刑する也。
凡夷人の境、風俗純朴なるによりて、盗賊とふの事もすくなく、まして人を殺害する事などは稀成ゆへ、刑の用ひかたも多からず。是にいふ鼻を截るが如きは至極の重罪となす也。
サイモンといへるは此語の解未だ詳ならず、其用ひかたは、たとへば罪を犯したる者ありて、鞠訊を盡すといへどもあへて其罪に伏せざる時、熱湯をまうけ、それに手を入させて其虚實を糺す也。
古史に見へたる武内宿禰の行ひし探湯の法などいはんが如し。
此刑を行ふ事、多くは女子の上に有事なり。
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