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最上徳内 (1808), p.534
鳥獣は弓矢を用。
弓は丸木にしてオンコといふ木を用。
オンコはあらゝぎなり。
弦は鯨魚の筋を用れども、なければ木皮又麻をよりあはせて作る。
矢はシヰキを用。
シヰキはおにかやといふものなり。
簇を二段につくり、各ぬけ易き様になす。
熊を射るとき熊かならず簇の集たる所を噛で抜去。
此時簇ぬけて肉にとゝまるための用意なり。
簇には毒をぬる。
毒一法にあらず。
其郷土によりて小異あり。
烏頭 (トリカブト) をはなるゝことなし。
足の長き蜘蛛、蕃椒、また水虫一種あり。
その他の物を用るもあり。
魚を射るにはきせるのやにを加ふるをよしとす。
烏頭を製するに極て巧拙あり。
和俗の芥子をかくに、手によりて気味を増といふの類にて、巧拙の外、人によりて果して毒の効、別なること有とぞ。
これによりて聚落中にて某が製毒よしとて、もらゐて用ることなりとぞ。
大熊を射て一箭にして三、四歩もしくは五、六歩を走る間、忽斃る。
又一足も迻さす死するもあり。
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Batchelor (1927), pp.780,81
陸地での生き物は、北海道には沢山の動物がいて肉類も豊富である。
ヒグマ(羆)の肉、鹿の肉、その他タヌキ(狸)、キツネ(狐)及び野兎も多くいるので食料に不自由することはなかった。
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狩で獲った獣の肉だけでなく、ここには沢山のカモ(鴨)、ガン(雁)、ハクチョウ(白鳥)、エゾライチョウ(蝦夷雷鳥)、ヤマシギ(山鷸) などの野鳥もいた。
この野鳥も立派な食料となった。
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- 引用・ 参考文献
- 最上徳内 (1808) :『渡島筆記』
- 高倉新一郎編『日本庶民生活史料集成 第4巻 探検・紀行・地誌 北辺篇』, 三一書房, 1969. pp.521-543
- Batchelor, John (1927) : Ainu Life And Lore ─ Echoes of A Departing Race
Kyobunkwan (教文館), 1927.
小松哲郎 訳『アイヌの暮らしと伝承──よみがえる木霊』,北海道出版企画センター, 1999.
- 砂沢クラ『ク スクップ オルシペ 私の一代の話』, 北海道新聞社, 1983
- 姉崎等『クマにあったらどうするか』, 木楽舎, 2002
- 参考Webサイト
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