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串原正峯 (1793), pp.508,509
海鼠引に集りたる蝦夷とも、
先ソウヤ濱邊に丸小屋をかけ、
會所にて種々交易の品を前貸をし、
おもに酒を借り、
日和待合の内は丸小屋にて酒盛をなし踊り狂ふに、
酒興に乗じ色々戯れをなすに、此へチリをはしめたり。
此へチリといふはもとカラフト嶋の踊にて、西蝦夷地にてはシヤリ、ソウヤ、テシヲといふ。
手を打懸聲して踊る。
十人、十五人、乃至二十人男女交り順列して踊る。
のびて踊り、縮て踊り、拍子有、間ありて面白き踊にて、興ある事なり。
最初はくるり/\と輸に廻り、調子揃にしたがひ圖のことく廻りて踊るなり。
上手なる蝦夷先鼻に立、夫に随ひ踊るなり。
ヘチリ踊 踊り歩行く道筋の圖
此輪の通りを幾度も廻りながら通るなり
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引用文献
- 串原正峯 (1793) :『夷諺俗話』
- 高倉新一郎編『日本庶民生活史料集成 第4巻 探検・紀行・地誌 北辺篇』, 三一書房, 1969. pp.485-520.
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