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串原正峯 (1793), p.514
夷、貸付差引勘定の時、假令(ば)鯡七束七連といふ事を、
へロキ [鯡]
アルワン [七]
テシ [連]
イカシマ [+]
アルワン [七]
シケ [束]
といふなり。
へロキは鯡、
アルワンは七、
テシは連なり、
イカシマは其上にてといふ事、
アルワン・シケ
は七束なり。
右のことくアルワン・テシ・イカシマ・アルワン・シケと通辭其夷に云聞るに、其夷は
アルワン [七]
テシ [連]
エ [一つ引]
ツベサン [八]
シケ [束]
なりといふ。
是も譯すれば
アルワン・テシは七連、
ヱ・ツベサン・シケは八束の内一束引といふにて、ツベサンシケは八束なり。
上にヱと付ていふ時は、一つ引といふ事、則ち七束なり。
ヶ様に七束七連をいひ様によりていろ/\にいふ事なり。
其夷通辭が言をとくと聞請ず、自分の思ふ所をいふゆへ、矢張同じ數なれとも違ひたる様に脇よりは見ゆるなり。
其夷と並びて居たる夷は脇に居て早く呑込居たるゆへ、側より其夷にいふには、此方のいふのも親方のいふも同じ数なりといふて笑ひたり。
かくいわれて考付たるや、成程左様なりと呑込たり。
右七束七連を夷言にいふ時は四通りに云るゝなり。
左のごとし。
蝦言に連をテシといふ、束をシケと云。
都て端したの小敷より先へいふなり。
[七連 其上に 七束 = 七束七連]
アルワン 七
テシ 連
イカシマ 其上に
アルワン 七
シケ 束
[七連 (一つ引・八)束 = 七束七連]
アルワン 七
テシ 連
ヱ 一つ引
ツベサン 八
シケ 束
[八束 なき 三連 = 七束七連]
レ 三
テシ 連
ヘナキ なき
ツベサン 八
シケ 束
[(二 其上に 小)連 (一つ引・八)束 = 七束七連]
ツ 二
テシ 連
イカシマ 其上に
ホン 小
シケ 束五連の事
ア[ヱ] [一つ引]
ツベサン 八
シケ 束
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引用文献
- 串原正峯 (1793) :『夷諺俗話』
- 高倉新一郎編『日本庶民生活史料集成 第4巻 探検・紀行・地誌 北辺篇』, 三一書房, 1969. pp.485-520.
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