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高倉新一郎 (1974), pp.138,139
交易は相対で行なわれたが、長年繰り返されている間に慣習ができ、交換比率も重要な商品、たとえば鮭・米などを基礎としてやや一定するに至った。
米は、古くは不明であるが、天明 (1781〜1789) ごろには八升 (約14.4 リットル) 入りが一俵となっていた。
交換比率は、寛政二年(1790) 当時、米一俵につき生鮭五束、干し鮭は七束だったという。
一束は二〇尾でアイヌの干し魚の交易単位であった。
アイヌは二十進法を使ったことと関係があるものと思われる。
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串原正峯 (1793), pp.494.495
宗谷交易定直段左に記すなり。
八升入米壹俵に付、
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鯡 |
六束 |
但鯡貳拾を壹連といふ。拾連を壹束と云なり。 |
煎海鼠 |
五百 |
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鮭 |
五束 |
但二拾本を壹束といふ。 |
鱒 |
拾五、六束 |
但右同斷 相庭 [相場] 年により少し違いあり |
干鱈 |
六束 |
但右同斷 |
鮭アダツ 鱒アダツ 數子 |
三樽 |
但貳斗樽 |
白子 |
三樽 |
但貳斗樽 |
笹目 |
六樽 |
但貳斗樽 |
椎茸 |
六百 |
トド皮 |
壹枚 |
水豹皮 |
三枚 |
反アツシ |
三枚 |
手幅付アツシ |
貳枚 |
アプスケ |
六枚 |
但葭簀の事なり。 |
キナ |
三枚 |
但夷苫の事なり。 |
右の外 |
魚油 |
貳斗入 壹樽 |
代米 八升入 三俵 |
熊膽 |
一つに付 |
同 拾四、五俵より貳拾俵位 |
十徳 |
同 |
代魚油にて貳斗入三樽より見合 |
同中品 |
同 |
同三樽半より五、六樽迄 |
同上品 |
同 |
同 八樽迠見合 |
段切 |
五尺に付 |
貳樽 |
鷲粕尾 |
壹把 |
同 壹樽より壹樽半 |
同薄氷 |
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同 貳樽より四樽位迠 |
同眞羽 |
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同 五樽より拾樽位迠 |
唐太烟草 |
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代酒五、六盃より小樽壹つ位 |
右は油にて交易直段記すといえとも、油の代り米にて渡す。
前に有ことく油壹樽は八升入米三俵なり。
八升入米壹俵價の交易の品左のことし。
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酒 |
小樽 四升入壹つ |
醪 |
四升入 貳つ |
濁酒 |
四升入 貳つ |
煙草 |
三把 |
田代 出刃鉋丁
の事なり |
壹枚 |
間剪 |
六枚 |
爽椀 |
六つ |
煙管 |
三本 |
麹 |
七升入 壹俵 |
鴨々 |
大小 壹組 |
耳環 |
六提 |
火打 |
六枚 |
右の外
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酒桶 |
大 壹つ |
油 貳斗入 三樽當り |
同 |
小 壹つ |
同 貳樽當り |
古手 |
壹枚 |
同 三樽より四樽迠 |
米八升入五、六俵より拾俵迠
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皮縫針 |
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烟草一把に付十二本に當る |
小針 |
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同斷に付 貳拾四本に當る |
木綿糸 |
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同斷に付 貳拾四繰 |
[紺]木綿 |
壹反に付 |
八升入米三俵に當る |
白木綿 |
壹反に付 |
同斷 貳俵半に當る |
鐇 |
壹挺 |
同斷 貳俵に當る |
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大小 |
同斷 貳、三俵より五、六俵いろ/\あり。 |
海鼠引かね |
壹掛 |
烟草壹把に當る。 |
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引用文献
- 串原正峯 (1793) :『夷諺俗話』
- 高倉新一郎編『日本庶民生活史料集成 第4巻 探検・紀行・地誌 北辺篇』, 三一書房, 1969. pp.485-520.
- 高倉新一郎 (1974) :『日本の民俗 1北海道』, 第一法規出版社, 1974
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