Up 交換比 作成: 2018-12-24
更新: 2019-02-08


      高倉新一郎 (1974), pp.138,139
    交易は相対で行なわれたが、長年繰り返されている間に慣習ができ、交換比率も重要な商品、たとえば鮭・米などを基礎としてやや一定するに至った。
    米は、古くは不明であるが、天明 (1781〜1789) ごろには八升 (約14.4 リットル) 入りが一俵となっていた。
    交換比率は、寛政二年(1790) 当時、米一俵につき生鮭五束、干し鮭は七束だったという。
    一束は二〇尾でアイヌの干し魚の交易単位であった。
    アイヌは二十進法を使ったことと関係があるものと思われる。

      串原正峯 (1793), pp.494.495
    宗谷交易定直段左に記すなり。
    八升入米壹俵に付、
    六束 但鯡貳拾を壹連といふ。拾連を壹束と云なり。
    煎海鼠(いりこ) 五百
    五束 但二拾本を壹束といふ。
    拾五、六束 但右同斷 相庭 [相場] 年により少し違いあり
    干鱈 六束 但右同斷 
    鮭アダツ
    鱒アダツ
    數子
    三樽 但貳斗樽
    白子(しらこ) 三樽 但貳斗樽
    笹目 六樽 但貳斗樽
    椎茸 六百
    トド皮 壹枚
    水豹皮 三枚
    反アツシ 三枚
    手幅付アツシ 貳枚
    アプスケ 六枚 葭簀(よしず)の事なり。
    キナ 三枚 但夷苫の事なり。
    右の外
    魚油 貳斗入 壹樽 代米 八升入 三俵
    熊膽(くまのゐ) 一つに付 同 拾四、五俵より貳拾俵位
    十徳(じっとく) 代魚油にて貳斗入三樽より見合
    同中品 同三樽半より五、六樽迄
    同上品 同 八樽迠見合
    段切(だんきれ) 五尺に付 貳樽
    鷲粕尾(わしかすお) 壹把 同 壹樽より壹樽半
    薄氷(うすべう) 同 貳樽より四樽位迠
    眞羽(まば) 同 五樽より拾樽位迠
    唐太烟草 代酒五、六盃より小樽壹つ位
    右は油にて交易((値))段記すといえとも、油の代り米にて渡す。
    前に有ことく油壹樽は八升入米三俵なり。
    八升入米壹俵價の交易の品左のことし。
    小樽 四升入壹つ
    (にごりざけ) 四升入 貳つ
    濁酒 四升入 貳つ
    煙草 三把
    田代(たしろ) 出刃鉋丁
       の事なり
    壹枚
    間剪(まきり) 六枚
    爽椀 六つ
    煙管 三本
    七升入 壹俵
    鴨々(かもかも) 大小 壹組
    耳環 六提
    火打 六枚
    右の外
    酒桶 大 壹つ 油 貳斗入 三樽當り
    小 壹つ 同 貳樽當り
    古手 壹枚 同 三樽より四樽迠
    米八升入五、六俵より拾俵迠
    皮縫針 烟草一把に付十二本に當る
    小針 同斷に付 貳拾四本に當る
    木綿糸 同斷に付 貳拾四繰
    [紺]木綿 壹反に付 八升入米三俵に當る
    白木綿 壹反に付 同斷 貳俵半に當る
    (まさかり) 壹挺 同斷 貳俵に當る
    (ほかい) 大小 同斷 貳、三俵より五、六俵いろ/\あり。
    海鼠引かね 壹掛 烟草壹把に當る。


    引用文献
    • 串原正峯 (1793) :『夷諺俗話』
      • 高倉新一郎編『日本庶民生活史料集成 第4巻 探検・紀行・地誌 北辺篇』, 三一書房, 1969. pp.485-520.
    • 高倉新一郎 (1974) :『日本の民俗 1北海道』, 第一法規出版社, 1974