Up 「アイヌ語辞典」というミスリーディング : 要旨 作成: 2016-12-29
更新: 2016-12-29


    A語・B語対訳辞典は,A語・B語が同型のときに成立するものである。
    翻って,A語・B語対訳辞典をつくる者は,A語・B語を同型と思っていることになる。

      サケ語とヒグマ語の対訳辞典は,あり得ない。 サケの言語空間とヒグマの言語空間は,同型でないからである。

    A語とB語の間に成立する「じてん」は,「辞典」ではなく「事典」である。

      サケは,サケ語でヒグマの事典をつくり,その中にヒグマ語の項目を含めることができる。
      ヒグマは,ヒグマ語でサケの事典をつくり,その中にサケ語の項目を含めることができる。


    「アイヌ語辞典」という存在は,ひとに「アイヌ語」を誤解させる。
    そしてこれは,「アイヌ」を誤解させることに通じている。
    その誤解は,アイヌと現代人の違いを,生活手段・道具・振る舞い方の違いとしか見ないということである。

    この誤解をよく表しているのが,"アイヌ" である。
    "アイヌ" は,「アイヌ」のコスプレをして,「自分はアイヌだ!」のデモンストレーションをする。
    アイヌを「生活手段・道具・振る舞い方」のことだと思っているからである。
    彼らは,「思考様式」を思うことができない。

    現代人は,思考様式が壁になり,アイヌを真似ることはできない。
    アイヌにとって,巫術やユーカラの内容は真実である。
    現代人は,巫術やユーカラの内容を真実と思うことができない。
    巫術やユーカラの内容は真実」と思うアタマになれない。
    即ち,アイヌを真似できない。