Up | アニミズム (八百万の神) は商品経済で死ぬ | 作成: 2018-12-13 更新: 2018-12-13 |
一つの事物も,それが表す貌は同じでない。 吉(善)と出たり凶(悪)と出たりする。 この吉凶・善悪の説明概念として神を立てるのが,アニミズムである。 アニミズムは,事物ごとに神を立てることになる。 アニミズムの神は,「八百万の神」になる。 八百万の神は,商品経済で死ぬ。 商品経済では,吉凶・善悪の概念が 例えば,減反政策によって,収穫前の稲を潰し賠償金を受け取る。 これが米作の生業の中に含まれてくるとき,《豊作を神に感謝する》は成り立たないものになる。 コンビニは,「賞味期限」を過ぎた弁当を廃棄処分にする。 これが,食物の扱い方になるとき,食べ物への感謝──食べ物を与えてくれた神への感謝──は成り立たないものになる。 一般に,物流社会──交換価値が価値になる社会──に事物の神は立たない道理である。 ロジックが無理となったものは,自ずと消えていく。 しかし,それだけではない。 神を立てれば,商品経済の生業・生活は<罰当たり>だらけになる。 自分を<罰当たり>にしないために,ひとは自ら神を無くしていく。 「アイヌの終焉」の内容は,「アイヌの神──八百万の神──が商品経済に曝されて死ぬ」である。
一方,ひとは,アイヌは同化政策によって終焉したと思っている。 これは,"アイヌ民族"イデオロギーのキャンペーンが功を奏したということである。 "アイヌ民族"イデオロギーは,欺瞞である。 実際,つぎのように言っていることになるからである:
「アイヌを続けていられることがよい」 同化政策は,終焉するアイヌを,この先生きていかれるようにしようという政策である。 「終焉」と「同化」の順序をくれぐれも間違わないように。
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