Up 「旧土人児童教育規程」, 1901(明治34) 作成: 2017-01-24
更新: 2017-03-26


  • 「旧土人児童教育規程」(庁令第四十二号), 1901(明治34)
     
    第一条
      尋常小学校ニ於テ 旧土人児童ト其ノ他ノ児童トヲ区別シテ教授スル場合ハ 旧土人児童ノ教科目各学年ノ教授ノ程度及毎週教授時数ハ 此/規程ニ依ル
    第二条
      旧土人児童ノ教科目ハ 修身、国語、算術、体操、裁縫(女子)、農業(男子) トス
    第三条
      旧土人児童ノ各学年ノ程度及毎週教授時数ハ 別表ニ依ルヘシ 但土地ノ情況ニ依リ 農業中水産ヲ闕クコトヲ得
    前項ノ規定ニ依リ難キ事情アルトキハ 管理者又ハ設立者ハ 其ノ事情ヲ具シ 北海道庁長官ノ認可ヲ受ケテ 其ノ毎週教授時数ヲ増減スルコトヲ得
    第四条
      尋常小学校若ハ其ノ分教場ニ於テハ 児童ヲ旧土人ト其ノ他ノ者トノ二部ニ分チ 一部ノ教授了リタル後他ノ一部ヲ教授スルコトヲ得
    前項ノ場合ニ於テハ 毎日ノ教授時数ヲ各部三時以上トス 但特別ノ事情アルトキハ 其ノ一部ハ之ヲ二時ト為スコトヲ得
    第五条
      前条ノ規定ニ依リ児童ヲ二部ニ分チ教授スル学校ハ 明治三十三年文部省令第十四号小学校令施行規則第三十九条ノ半日小学校ト同視ス
    第六条
      本令ハ明治三十四年四月一日ヨリ施行ス
    別表(省略)


  • 「旧土人教育規程」, 1916(大正5)
     
    第1条 
      旧土人児童ノ小学校教育ハ 此ノ規程ニ依ル。
    第2条 
      旧土人児童満七歳ニ達シタル日以後ニ於ケル最初ノ学年ノ始ヲ以テ 就学ノ始期トス。
    但シ心身ノ発育特ニ良好ナル者二在リテハ、区町村長戸長ニ於テ監督官庁ノ認可ヲ受ケ、就学ノ始期ヲ一箇年繰リ上グルコトヲ得。
    第3条 
      旧土人児童ノ尋常小学校修業年限ハ 四箇年トス。
    但シ土地ノ情況ニ依リ、管理者又ハ設立者ニ於テ、監督官庁ノ認可ヲ受ケ六箇年ニ延長スルコトヲ得。
    第4条
      旧土人保護法ニ依リ設置セル小学校及旧土人児童ト其ノ他ノ児童トヲ区別シテ教授スル尋常小学校ニ於テハ、其ノ教科目各学年ノ教授ノ程度、及毎週教授時数ハ、第一号表及第二号表ニ依ル (表ハ略ス)
    土地ノ情況ニ依リ 管理者又ハ設立者ニ於テ、監督官庁ノ認可ヲ受ケ季節ヲ限リ、前項ノ毎週教授時数ヲ 十八時間マテ減スルコトヲ得。 此ノ場合、学校長ニ於テ各教科目ノ毎週教授時数ヲ斟酌配当スヘシ。
    実業ハ土地ノ情況ニ依リ、学校長ニ於テ適宜農業又ハ手工ノ実習ヲ為サシムヘシ。
    第五条
      旧土人保護法ニ依リ設置セル小学校ニ於ケル教員ノ配置ハ、小学校令施行規則第三十五条ノ規定ニ依ラサルコトヲ得。
    正教員ヲ得難キ場合ニ於テハ、同一設置区域内ノ小学校長ヲシテ学校長ヲ兼ネシム。
    第六条
      学校長ハ修業年限ノ終ニ於テ、尋常小学校四学年、若ハ六学年ノ課程ニ依リ、相当ノ成績ヲ認メタルトキハ、卒業証書ヲ授与スヘシ。
    第七条
      前条ノ尋常小学校四学年ノ卒業者ニシテ引続キ尋常小学校ノ教科ヲ修メムトスル者ハ第五学年ニ編入スヘシ。
    第八条
      本規程ニ依リ卒業ノ認定ヲ受ケタル者ハ、尋常小学校ノ教科ヲ修了シタルモノトス。
    第九条
      本規程ニ定ムルモノノ外ハ 小学校ニ関スル規程ニ依ル。


  • 参考文献
    • 『アイヌ物語』, 富貴堂書房, 1918
      • 小川正人・山田伸一(編)『アイヌ民族 近代の記録』, 草風館, 1998. pp.351-372.
    • 北海道教育研究所(編)『北海道教育史 地方編』, 北海道教育史刊行会
    • 小川正人 :「「北海道旧土人保護法」·「旧土人児童教育規程」下のアイヌ学校」, 北海道大学教育学部紀要, 58, 1992. pp.197-266