Up | パンデミック : はじめに | 作成: 2019-03-29 更新: 2019-03-29 |
人類は,過去に何度もあったであろうパンデミックを過ごして,いまがあることになる。 ということは,逆に考えると,《パンデミックといえども,集団壊滅までは進まずに終息する》ということである。 この「終息」は,病原体の消滅ではない。 病原体は潜伏していることになる。 そして,《機が熟す》となって,再びパンデミックを起こす。 この《‥‥ →発生→終息→潜伏→発生→ ‥‥》の内容は,今日の科学でもわかっていない。 感染症の病理学は,もっぱら医療を守備領域にするに留まっている。 <終息> しかしこれは,「流行した地域が全滅し,離れた地域が無事だった」という内容ではない。 「何市では,死者が全体の何分の何」という内容である。 そこで逆に,なぜ全滅とならずに終息したのか?となるわけである。 感染者から離れる行動がとられたので,感染が止まったのか? しかし,避難者の中に感染者が埋没している確率はゼロではあり得ない。 そしてひとは集団でしか生きられない。 一人の感染者が伝染のもとになるのだとしたら,この伝染は集団の全員に及ばずに止むことはないはずである。 大腸菌は細胞分裂で繁殖するので,培養皿におかれると,はじめ指数関数的に増加する。 しかし,やがて定常になり,つぎには減少し,そして絶滅する。 この現象は,「資源の枯渇」で説明される。 パンデミックの終息も,これがモデルになる。 ただし「資源の枯渇」の内容が複雑になる,ということである。 <潜伏> この動物と病原体の関係は,「共存」と見ることになる。 病原体にとっては,宿主あっての自分だからである。 翻って,人を死なせる感染症は,病原体にとって不本意な感染ということになる。 本来の宿主でない生き物の中に入ってしまい,調子が狂い,それが<感染者を殺す>になるというわけである。 <人を死なせる感染症>には,別の解釈も立つ。 この病原体は,もともと人と共存していた。 しかし,人がこれを無きものにしようと考え,徹底的にいじめ出した。 そこでこの病原体は,殺されない形質・感染方式の獲得へと進化した。 そして獲得した<殺されない形質・感染方式>は,結果的に,感染した人を殺すものになっていた。 「薬剤耐性の菌・ウィルスの感染症」が,これの例になる。 <発生> そうでなければ,感染が恒常的に起こっているはずだからである。 間隔をおいて発生するということは,<シンクロの大きなうねり>が進行しているということである。 この運動系は,人の外にあるのではない。 それどころか,人の営みこそがこのうねりの核心的モーメントであるというふうに考えることになる。 「薬剤耐性の菌・ウィルスの感染症」が,再び例になる。 |