|
読売新聞 北海道版, 2020-04-11
緊急事態宣言
先行き見えぬ
観光業消沈
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、安倍首相が東京などにゴールデンウィーク(GW) が終わるまで緊急事態宣言を出したことで、GW中の首都圏からの集客に期待していた道内の観光業者から悲鳴が上がっている。
道内客に活路を見いだそうとする業者も出てきた。
GWも厳しく
「祈るしかない」
■予約全キャンセル
「外国人どころか、もはや国内客も望めず、先行きは全く見えない」。
10目、七飯町の大沼国定公園で、翌日に控えた今季の営業開始に向け、遊覧船を進水させた「大沼合同遊船」の川村晃也常務(60)は、そう漏らした。
新型コロナウイルスの影響で観光客が減る中、道外の旅行会社への営業を重ね、5月は首都圏や九州などから約2000人の予約を取り付けた。
安心して楽しんでもらおうと、除菌効果が期待できる「次亜塩素酸水」の噴霧器も導入した。
しかし、道内外で感染が拡大し、全てキャンセルになった。
上川町の層雲峡観光協会では、GWの宿泊客向けに町内で使える商品券を配布する計画を立て、財政支援を取り付けるため、町と協議をしてきだ。
だが、政府の緊急事態宣言を受け、協議は棚上げになったという。
協会に加盟する宿泊施設のGWの予約数は前年比8割減で、今後、さらにキャンセルの続出が見込まれる。
中島慎一事務局長(51)は「6月以降に宿泊者が戻ってくることを祈るしかない」とため息をついた。
小樽市の観光スポット・堺町通り商店街。
商店街振興組合の久末智章理事長(57)は「3月の各店の売り上げは前年同期から80%減だったが、4月はさらに減る可能性がある」と危機感をあらわにした。
一方、4月下旬にオープンを予定している道央地方のホテルの担当者は「このままオープンしてもお客が来るかどうか」と頭を抱えた。
工事はほぼ終わってスタッフも確保したが、オープンまで1か月を切った現時点でも、フランチャイズ本部の方針で予約を受け付けられないという。
■道民向けに力
こうした中、道民向けの集客に力を入れる施設も出てきた。
札幌市の「京王プラザホテル札幌」は、ホテル内の土産品店で使える1000円分の商品券と駐車場代(1泊1500円) の無料サービスを付けた道民限定の宿泊プランを発売した。
同ホテルも政府の緊急事態宣言後、首都圏の客を中心にGWのキャンセルが相次いでいる。
道民向けプランは過去、閑散期に行ったことはあったが、GWの実施は初めてという。
担当者は「道民向けプランの予約も順調とは言えない。
事態が収束しないと人の動きは出てこないのかもしれない」と話した。
|
|
|