Up 比を知らない者たちの「第○波」狂騒 作成: 2021--04-01
更新: 2021--05-15


洗脳されないための3つの円グラフ

    感染症の感染は,確率事象である。
    陽性検査された者の一定割合は,陽性を現す。
    よって,検査数を増やせば,陽性者数が増える。
    逆に,陽性者数が増えているときは,検査数が増えているときである。


    札幌市
    (札幌市保健所「札幌市における感染状況について (令和3年5月13日)」より)


    大阪府
    (大阪府「最新感染動向」より)


    東京都
    (東京都「報告日別による陽性者数の推移」より)



    3つのグラフは,人数スケールを一致させている。
    これらが示すことは,陽性反応はとっくに確率事象になっているということである。
    日本人すべてを()()検査したら,1%くらい (100万人) は陽性反応を現すことになる。


    大阪府知事が「感染拡大」と騒いで政府から緊急事態宣言を引き出したとき,その「感染拡大」の内容は,陽性検査数が増えたことであった。
    札幌市がいま「感染拡大」と騒いで政府から緊急事態宣言を引き出したわけだが,この「感染拡大」の内容も,陽性検査数が増えたことである。

    しかし<引っ込みのつかない者たち>は,検査数を隠蔽して,陽性反応者数を「新規感染者」と言い換える。
    検査数で割るのではなく人口で割って,統計を「人口10万人あたり」にする。
    そして,札幌市の感染拡大はものすごいと,唱えるわけである。

      札幌市の人口は,東京都の1/7,大阪府の 1/5弱。
      一方,陽性検査数は,東京都・大阪府並み。
      したがって,札幌市の「人口10万人あたり感染者数」は,東京都・大阪府の数倍になるわけである。


    「陽性者数」には,「検査数」という分母がある。
    しかしひとは,「分母」の考えをもたない。
    ひとは,「比」を知らない。

    知事,政府,そしてマスコミは,「比」を知らない大衆の無知のおかげで立場を保っている(
    てい
    )
    であるが,実際のところ彼らも「比」を知らない者の内である。


    「比」の考えは,学校数学で教えられることになっている。
    その単元は, 「分数」である。
    しかし,指導的立場にある者が,そもそもこれを知らない。

    彼らは,分数の分母は「等分」だと思っている。
    例えば「2/3」は,「3つに分けた2つ分」がこれの意味だと思っている。
    学校では,教員が「3つに分けた2つ分」の文言を生徒に刷り込んでいる (洗脳している)。
    また彼らは,分数は──小数とともに──「はしたの量の表現」だと思っている。
    かくして, 「小学算数に分数は要らない,小数でよい」と言う者も出てくる始末である。

    数を「比」であると理解していないから,「新規感染者数○人」を聞かされて驚く。
    かつて文化人類学のテクストには,数詞を「1, 2, 3, たくさん」程度しか持たない「未開社会」の報告がよく載っていた。 「新規感染者数○人」を聞かされて「わぁ, たくさん!」と驚くいまの日本は,この未開社会と同じである。
    そして,「比」を教えるのではなく「1, 2, 3, たくさん」を生徒に刷り込んでいるのがいまの学校の現状というわけなので,どうにも救われようが無いわけである。


      読売新聞, 2021-04-24
    緊急事態宣言3度目
    4都府県あすから来月11日
    政府決定 GW人手を抑制
     政府は23日、新型コロナウイルスの感染が拡大している東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言Jを発令することを決めた。 幅広い休業要請などを通じ、大型連休中などの人の流れを止めることを目指す。 感染が広がりやすい飲食店に的を絞った従来のやり方を大きく転換する。
    百貨店など休業要請
     宣言発令は、昨年4月と今年1月に続いて3回目。 発令期間は25日から5月11日までの17日間。菅首相は23日、政府対策本部で発令決定後、「ゴールデンウィークの短期集中対策として飲食の対策を強化し、いったん人の流れを止めるための強力な措置を講じる」と強調した。
     大阪など関西圏では感染力の強い変異ウイルスが流行し、前回の宣言時よりも感染状視が悪化している。 東京の感染者数も増え続けており、政府は思い切った対策が必要だと判断した。 専門家でつくる基本的対処方針分科会の尾身茂会長は23日の首相記者会見に同席し、「間違いなく新しいフェーズ〈段階) に入った。人と人の接触の機会をできるだけ避けることが最大の目標だ」と説明した。
     宣言が発令される4都府県では、知事の権限が強化される。 飲食店対策はこれまでの営業時間短縮の要請から一歩踏み込み、感染リスクにつながるとされる酒類やカラオケを撮供する店に休業を要輔する。 その他の店には午後8時までの時短営業を求める。 応じた店には、それぞれ協力金を出す。 自治体は野外での集団飲酒を防ぐため、路上や公園などを見回る。
     東京から埼玉、千葉、神奈川県の飲食店に客が流れないよう、3県に適用中のまん延防止等重点措置を強化する。 県内の飲食店に終日、酒類やカラオケの揖供を自粛要請できるようになる。
     スポーツなどのイベントは原則、無観客とする。前回宣言時は、発令から最大4日間の「周知期間」を設け、販売済みチゲット分の入場を例外として認めた。, 今回は23,24日を例外扱いし,25,26日についてもチケットのキャンセルなどで混乱が予想される場合は観客の入場を認める方向だ。
     百貨店やショッピングセンターなど1000平方メートル超の商業施設は、生活必需品の売り場などを除いて休業を求める。 テーマパークや映画館なども休業対象となる。 応じた施設に1日20万円の協力金を支払う。 施設内の店舗にも1日2万円を出す。 鉄道などの交通事業者には、平日の終電繰り上げなどを要請する。
     政府は23日、愛媛県へのまん延防止等重点措置の追加適用を決めた。 松山市が対象となる見込みで期間は25日から5月11日まで。 また、適用済みの6県のうち宮城、沖縄両県の期限を5月5日から11日に延ばす。