Up 「感染者・発症者・罹患者」 作成: 2020-04-19
更新: 2020-04-19


    「感染者」とは,ウィルスの感染プロセスが自分の体の中で起こっている者のことである。
    このプロセスは,「症状」として自覚ないし他から検出されるとは限らない。
    知らぬうちに感染しそれで終わっていることが,ふつうにある。
    よって「感染者数」は,言ってもしょうがないものである。

    「発症者」とは,ウィルスの感染プロセスが検出された者のことである。
    ウィルスに感染して体の加減が悪くなっただけでは, 「発症者」とはならない。
    ウィルスが検出されてはじめて, 「発症者」になる。
    よって「発症者数」も,言ってもしょうがないものである。

    「罹患者」は,病院の患者になり,そこでウィルスの感染者と判断された者のことである。
    発症しているが病院に行かなければ,罹患者とはならない。


    「罹患者」の場合は,病院の記録があるので,「全国罹患者数」を計算できることになる。
    実際は,全病院の記録を扱うことは困難なので,推計値計算をする。

    インフルエンザの場合だと,全国の罹患者数 (推計値) をつぎのように計算している:
      全国約5,000か所の医療機関を定点医療機関として指定し,
       a= 定点医療機関からのインフルエンザ報告数
       b= 定点医療機関の外来患者延数
       c= 全医療機関の外来患者延数
      に対し
       a× c/b = 全国の罹患者推計値
    この計算をすると,インフルエンザの全罹患者数は約1000万人となる。
    (厚生省「季節性インフルエンザり患者数の推計方法等の変更について」, 2018)