|
平凡社『改訂新版 世界大百科事典』「サハラ砂漠」
世界の砂漠は南北両半球の緯度30°線に沿う亜熱帯高圧帯に分布するが,サハラ砂漠もその例外ではなく,北大西洋高気圧(アゾレス高気圧)に年中覆われ砂漠となっている。
大陸の西側に高い山脈がないこと,東のタクラマカン高気圧と連動していることが,アラビア半島からタール砂漠に連なる,他に例のない巨大な砂漠帯を生じているといわれる。
レガヌReggane,イン・サラーIn Salah(アイン・サラーフ),アスワンなど,中央部には年間を通じほとんど降雨がなく,植生のまったくない赤茶けた極乾燥地域が広がっている。
この極乾燥地域はオーストラリアの砂漠にはなく,他の砂漠にも小面積しかない。
その周辺には1ヵ月程度の雨季のある(年降水量80〜200mm)乾燥地域が分布し,その外側に3ヵ月程度の雨季のある半砂漠のステップ地域が続いている。
雨量は年による変動が大きく,しかも集中して降り,ワーディー(涸れ川)で奔流をなすが,すぐ地下に浸透したり,蒸発してしまう。
全体に夏季は高温になり,とくに内陸部では日中は日陰でも50℃以上という耐えがたい温度になる。
夜は急速に熱を放射するため気温が低下し,日較差がきわめて大きいのが特徴である。
冬は北回帰線より北の地域ではかなり寒くなり,1月には日中でも10℃以下になる。
とくに高地では夜0℃以下に下がる。
温度の変化が急激なためサハラ砂漠では岩石の風化が著しい。
南部サハラの冬は適度に涼しくなり,しのぎやすくなる。
西部のモーリタニア海岸では,カナリア海流(寒流)の影響で年中比較的しのぎやすい。
|
|
|