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桜井 (1987), p.57
濯木や高木の叢林は,
その根系が土壌を緊縛して侵食・崩壊を防ぐだけでなく,
地上の風速を減少させて土砂が飛散するのを抑え,
雨滴の打撃力を弱めて表土の流亡を防ぐとともに土中への水の浸透を促し,
落葉が土に有機物を供給し,また
地表付近の温度を調節する
など,さまざまな重要な働きをもっている。
中国の北方地区では,近年森林が減少したため,日常生活の燃料用の樹木の伐採がさらに多くなり,それが沙漠化を促進する大きな原因となっている。
この原因による沙漠化面積は 16,339 km² で,‥‥‥現代における沙漠土地面積の中で最大の割合を占めている。
例えば,黄土高原iとある陝西省北部の神木県では,1949年から約30年の間に, 22,680 ha 残っていた臭柏林の73%が燃料として伐採され,またパダインジャラン沙漠とテンゲル沙漠をかかえる内蒙古の阿拉善盟でも,天然の[扌+夋]梭の林の60%が,近年になって燃料として伐られて消滅してしまった。
5人家族の家庭で,毎日燃料として 10 kg の薪を消費するとすれば, 1 年間には 20〜27 ha の砂丘の飛砂を固定する機能を失う結果になるという。
このような事情から,森林の伐採による沙漠化は,居住区の周辺において特に顕著である。
なお森林の伐採のほか,薬草その他の有用な野生植物の過度の採取も,植被の破壊を招くことがある。
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高見 (2014)
[黄土高原で森林がなくなった原因には] 生活燃料を得るための伐採もある。
大同は中国有数の石炭産地であり、農村でも石炭を使うことが多かった。
ところが原油の値上がりに引きずられて石炭価格も上昇し、2000年に1t60元だったものが、2008年末には850元になり、いまでは1000元を超えている。
そうなると農家は手を出せない。
トウモロコシやヒマワリの茎や芯、アワ、キビの藁などを燃やしているが、足りない分を山に求める人が一時期より増えた。
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- 引用/参考文献
- 桜井義雄 (1987) :「中国における沙漠化の問題──その生態学的考察」, 信州大学環境科学論集, 第9号. 1987, pp.50-63
- 引用/参考Webサイト
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