Up 「復興・防災」ビジネス : 要旨 作成: 2019-03-25
更新: 2019-03-25


    ひとは,ビジネスを《需要 → ビジネス》のように受け取る。
    そして,自分が需要の側にいると定める。
    ひとは,<みな>を想定し<みな>から外れまいとする存在である。

    実際は,ビジネスはビジネスが成り立つところに立つ。
    「成り立つ」の内容は,
     「ひとにこのビジネスを示せば,ひとはこれの需要者になってくれる」
    である。
    この意味で,《ビジネス → 需要》である。
    《需要 → ビジネス》ではない。

    ビジネスは,「需要喚起」である。
    この需要は,「潜在的需要」と呼びたくなるが,「もともと無いもの」というのが本当である。
    ビジネスは,「需要が無いのに有るかのように思わせる」である。
    ビジネスは,(てい)のいい詐欺である。
    ──これは悪口ではなく,本質がこうだというのである。


    商品経済では,大災害はビジネスチャンスを意味する。
    大災害の後は,「需要が無いのに有るかのように思わせる」類の「復興・防災」ビジネスが活況を呈する。

    例えば,視界を遮る大堤防や土地の嵩上げ工事。
    これらに需要はない。
    しかし,ビジネスはこれを「需要」にする。
    そしてひとは,虚構された「需要」に対し,異論を述べることができない。


    生活は,<築いては壊され>である。
    そこで<築く>は,<壊される>を想定して,行われることになる。
    これが,生活者の智慧である。

    これに対し「復興・防災」ビジネスは,《「壊されない生活」がほんとうであり,実現されるべきものである》をひとに信じ込ませようとする。
    なぜなら,「壊されない生活」のインフラ構築の方が金になるからである。

    「壊されない」は,高コストであるばかりでなく,「不便」とのトレードオフである。
    コストパフォーマンスの考えに即けば,まったくのナンセンスである。
    しかし,この合理的計算は,一つのキャッチフレーズによって潰される。
    「人命第一」である。
    これも,詐欺である。