Up 「肺常在微生物叢」研究とは 作成: 2022-02-27
更新: 2022-02-27


    肺常在微生物叢については,健康な肺の常在微生物叢を知ることが最初である。
    しかし健康な肺の常在微生物叢を知ろうとする研究は,なかなか現れて来ない。
    肺の微生物に対する関心の持たれ方が,《医療畑の者が,肺病原微生物研究のコンテクストで関心を持つ》というものだからである。
    そしてそもそも,それは行うことが難しい。

    「難しい」とは?
    健康な肺を本当に調べることはできない,ということである。
    本当に調べるとは,健康な生の肺をそれこそ「切り刻んで調べる」ことだからである。

    実際これは,杉田玄白の時代だったら,処刑された罪人を解剖してやることである。
    ナチの時代だったら,ユダヤ人を人体実験にかけてやることである。
    だから,できることではないのである。


    肺常在微生物叢の本格的な研究は,ヒト以外のヒトに近い動物で行うことになる。
    そして,これをやっても咎められない動物を択んで行うことになる。

    実験用ラットは,これに適さない。
    生きてきた環境が自然でないからである。

    ヒトに近い動物で可能性があるのは,食肉用に屠殺される牛,豚等の動物ということになる。
    屠殺直後の肺を標本に用いるわけである。

    この場合,畜産の専門大学・学部や研究機関が研究の中心になる。
    いまはこれらも,微生物研究といえば病原微生物研究一辺倒である。
    しかし「常在微生物叢」の概念は次第にひとの間に広まっていくだろうから,それら機関が常在微生物叢の研究──「病気」から「健康」へのパラダイムシフト──に取り組み出すのも,そんなに先のことではないはずである。