Up 「財政崩壊」の<常識的>シナリオ 作成: 2020-04-08
更新: 2020-04-08


    生活困窮者の救済策は,金を給付することである。
    実際,これを行っているわけである。

    さて,人ひとりは年に200万円も給付されれば生きていけるから,国民総人口1億として200万円一律給付すると,
      (2 ×102+4)x104+4 = 2 ×102+4+4+4) = 200兆 (円)
    この度は「108兆円経済対策」を決定したわけであるが,これを2倍した額で,生活困窮問題は解決されるというわけである。
    財布の中を心配する必要はない。
    金は造ればよい。

    と言うと,「そんなばかな」の声が定めし返ってくるだろう。
    確かに,このやり方はおかしいのだ。
    しかしどんなふうにおかしいのかを説明できる者は,あまりいないはずである。
    繰り返すが,国は──額こそ違え──これを現にやっている。
    そして国民は何の疑問も抱かずこれを受け入れている。


    このやり方がおかしいことの説明は,帰謬法のようになる。
    即ち,「このやり方で行くと国が壊れる」を導き,「国は壊れてはならないから,このやり方はおかしい」を結論する。

    では,どんなふうに壊れるか。
    小学生にも思う浮ぶ自壊シナリオは,つぎのものである:
      働かなくても生きられるのであれば,働く者はいなくなる。
      そしてこれは,生活物資が無くなるということ。

    しかしこの推理には,
      ひとは働かないではいられない。
      したがって,生活物資はつねに揃う。
    を返すことができる。
    これに反論するのは難しい。
    実際,これを信じて国が立ったことも過去にあったくらいである──共産主義国家。


    別のシナリオは,つぎのものである:
      通貨が信用できないものになり,無用のものになる。

    物を(かね)と交換することに,「割が合わない」感がだんだんと持たれるようになる。
    最初は,価格を上げるようなことをする。
    しかしこれは,金の無価値を印象づける一方となる。
    価格上昇が爆発的になって,金は紙くず同然になる。

     註: 今日,「紙くず同然」は死語であり,使えない。
    現金を持たない方が普通になっているからである。

    これに続くのは?
    通貨が無いのは,不便である。──物々交換なんぞやっていられない。
    そこで,信用できる通貨を求めることになる。
    これまでドルがその地位を占めていたので,ここでもドルとしておこう。
    日本国内の物流はドル建てになる。

     註: 実際のところ,変化の激しいこの時代には,(仮想通貨も含め) 何が信用通貨になるかわからない。

    ひとはいったん無一文になる。
    (「無一文」も死語である──ここでは「無一ドル」の意味。)
    そして,無一文から這い上がれない者がいる。
    政府は,彼らを救済せねばならない。
    方法は,ドルの給付である。
    しかしこの度は,金をつくるというわけにはいかない。
    つくったら,贋ドルづくりである。

    そこで,政府は他の国からドルを借りることになる。
    その国をアメリカとしておこう。

    しかし,日本国の財政崩壊を知っているアメリカは,ただでドルを貸すものではない。
    信用ならぬから,われわれが管理する」となる。
    (実際,日本国の財政崩壊は,国民の求めに応ずる一方の政治によるものであった。)
    GHQ が立つわけである。

    戦後の日本の復興は速かったが,この度は極度の老齢化社会 (老害社会) のため財政崩壊からの立ち直りがぜんぜん進まないとしよう。
    GHQ 統治が続くことになる。
    これは,日本がアメリカの「日本州」になるということである。
    ──ドルでなくて元だったら,中国の「日本省」。

    もっとも,グローバリズム好きには,この路線も捨てたものでないかも知れない。
    この場合はいよいよ,国の財政崩壊は恐いものでなくなる。