Up はじめに 作成: 2020-04-08
更新: 2020-05-14


    政治は,生活の崩壊を手当せねばならない。
    方法は,「財政出動」である。

      読売新聞, 2020-04-07
    108兆円経済対策決定
    財政支出39兆円
     政府は7日の臨時閣議で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策と、2020年度補正予算案を決定した。 財政支出は39.5兆円程度、事業規模は国内総生産(GDP)の約2割にあたる108.2兆円程度で、過去最大となる。
     財源確保のため、新規国債を16兆8057億円発行する。 このうち赤字国債は14兆4767億円で、12年の第2次安倍内閣発足後、経済対策のために赤字国債を発行するのは初めて。
     緊急経済対策は「緊急支援フェーズ」と「V字回復フェーズ」の2段階で行う。
     世帯主の収入が減った低所得世帯などに1世帯あたり30万円を5月にも給付し、児童手当の受給世帯には子ども1人あたり1万円の臨時給付金を支給する。 収入が半分以下に減った中堅・中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を支給し、税金や社会保険料の納付を1年間猶予。担保や延滞料、延滞税は免除する。 観光や運輸、飲食、イベント業などを支援するキャンペーンには約1兆6794億円をあてる。


    この数字を見て,ひとはつぎのように思うかも知れない:
      日本って,ずいぶん金があるじゃないか!
      こんなふうに金を出せるなら,生活困窮の問題なんてすぐに解決できるじゃないか!

    ひとは,国の支出は税金で賄っていると思っている。
    しかし税収は,平成30 (2018)年度で 57.7 兆円。
    このうち
      所得税 19.9 兆円
      消費税 17.7 兆円
      法人税 12.3 兆円
      ──以上の計:49.9 兆円
    これに対し 2018度の歳出は,97.5 兆円。
    そしてこの度の補正予算の財政支出は,39.5 兆円。
    この数字を見て「税金で賄っている」と思う者はよほどおめでたいということになるが,平均的国民の認識は「税金で賄っている」である。


    「財政支出 39.5兆円」は,純粋に追加の支出である。
    そこで本来なら,つぎの疑問がもたれるべきなのである:
      これは財政崩壊ではないか?
      こんなことが通用するのか?

    これは財政崩壊ではないか?」に対する答えは,簡単である。
    「とっくに財政崩壊している」である。
    実際,政府にもこの感覚があるので,「財政支出 39.5兆円」なんか平気となるわけである。

    こんなことが通用するのか?」に対する答え──こちらの方は複雑である。

    個人や企業が財政破綻すると,「倒産」になる。
    「倒産」は,<いつまでに借金を返済せねばならない>があって,これができない場合である。
    国の場合は,この<いつまでに借金を返済せねばならない>がない。
    しかも,金は自分が造るものなので,借金が難しいときは金を造るだけのことである。


    <金を造る>?
    こんなことをやっていてだいじょうぶなのか?

    だいじょうぶもなにも,いまの日本の財政はこれでやっている。
    はて,どんな理論に立っているのか?

    ここに「MMT (Modern Money Theory」という財政理論があって,「これでいいのだ──そもそも財政は<金を造る>である」を説いている。
    そして日本は,MMT の壮大な実験場をが買って出ている(てい)である。──政府は MMT を否定しているが。