| Up | 食料自給国の内情 | 作成: 2024-09-20 更新: 2024-09-20 |
日本は食料自給に向かわねばばならない，と思う。 この「思う」は，「単純に思う」である。 食料自給とはどうなることかを，考えない。 自明にしてしまい，内容を考える方に進まないのである (思考停止)。 食料Aを自給しているとは，Aはつねに余り状態だということである。 余っているので，価格は低い。 政府は，A生産農家を直接支給で助けねばならない。 この直接支給は，A生産農家の所得に占める率が高まる一方になる。 A生産農家は，国家公務員の 余った食料は，倉庫に貯蔵する。 在庫が増え，限度を超えたら処分する。 この処分も，国の大きな支出になる。
国連が食料に潤沢なのは，食料が余って処分に困っている国── EU やアメリカ──が供出してくるからである。 翻って，それらの国が一斉に食糧不足になれば，国連の食料援助は無くなる。 こうして，食料自給の国は，農家への支出が莫大になり，財政が逼迫している国である。 農家を支えることは，財政規律とつねに対立する。 日本人は食料自給国を羨ましく思っているが，その国は財政が火の車なのである。 翻って，日本はうまくやってきたことになる。 食料を輸入に頼ることにしたので，農作物の生産過剰で難儀するのを免れている。 米余りがあると言っても，EU やアメリカの農作物生産過剰と比べれば大したものでない。 ひとは「安全保障」を普遍的に正義だと思っているが，これはいまの時代のことである。 昔は，「安全にかまっていたら，よく生きられない」が知恵である：
死ぬる時節には死ぬがよく候。 是はこれ災難をのがるる妙法にて候。 （良寛） 食料についても同じ。 「食料安全保障」は， 最近喧しく言われるようになった しかしひとはもうすっかり，「食料安全保障」を普遍的に正義だと思う者になった。 「食料不足になったらなったで，そのときは何とかするだろう」でこれまでやってきたことを忘れる。 安全保障を背負い込むことは，財政が破綻し，生活が破綻することである。 ひとはまだこのことに頭が回っていない。
この注意報を発することは，海に近づくなと言うことであり，これによって生活を犠牲にした者に対し，埋め合わせの金を支給することである。 海の近くが生活の場である者は，金の支給が得られるよう，「注意報に対する行動は，個人にまかせるのではなく，一律にして命令を発せよ」と要求してくるようになるからである。 こうして，「南海トラフ巨大地震注意報」は，財政問題になる。 |