Up 米配給制 作成: 2024-09-13
更新: 2024-09-13


    米の生産・売買の自由化は,米の投機を呼び込み,米供給の不安定をもたらすことになった。
    そして,米騒動にまで至る。
    ここに政府は,米の統制へと舵を切ることになり,米配給制へと進む。

    米は,政府が生産者から公定価格で買い取り,配給米として消費者に購入させる。
    このときの米の直接の売買は,政府が認可した業者・団体が行う。

    これは,戦争の時期には,戦時経済統制の一環となる。
    食糧管理法 (食管制度) が制定され,<供出 (強制出荷) - 配給>の形が明確になる。


    食管制度は,戦後の経済事情から,戦後も継続される。
    しかし,米の配給量は需要にまったく届かない。
    ヤミ米が当然のものになる。

    戦後復興で,米の生産量は多くなっていく。
    配給が需要を満たすようになる。
    すると今度は,つぎが問題になってくる:
    1. 配給は品質の均等化となり,よい品質の米が生かされない
    2. 財政負担が大きい

    「よい品質の米が生かされない」への対応措置は,「ヤミ米」の黙認と「自主流通米」。
    また,米が余り始まると,「財政負担が大きい」に対しては「生産調整」で応じることになった。
    ここに食管制度の形骸化は極まる。


    食管制度は,1995年の食糧法制定を以て終わる。
    米余りが明らかになり生産調整が始まったのは,1960年代。
    食管制度は,形骸化しても,立場 (タテマエ) として保持された。
    なぜか?
    「安全保障」がこれの立場だったからである。

    政治は,規制と規制緩和の間を行ったり来たりする。
    規制は「安全保障」が立場であり,規制緩和は「市場原理」が立場である。
    政治を規制から規制緩和に転向させるものは,財政の逼迫感である。
    政治を規制緩和から規制に転向させるものは,危機の逼迫感である。