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教授/学習材の制作
「教室にコンピュータを!」のテーマは,かれこれ15年以上も前から今日(1998年現在)へと続いています。
登場してから数年間は,「CAI (Computer Asisted Instruction)」というコンセプトが論じられ,実践されていました。いまと比べるとコンピュータやプログラム言語の機能が格段に低かった時代で,画面に表示するすべての要素を逐一プログラムするという形の教授/学習材制作です。したがって,実践といっても,コンピュータの好きなごく一部の教師が個人的にプログラムを制作し,グループで見せ合うという程度でした。配布メディアも,個人で可能なのはフロッピーディスクだけです。結局,
- 制作に投入する労力は大変なのに,できあがりの品質は低いし,プログラム化すべき主題も山ほどある
- つくっても広く伝えられない,作品交換の輪を広げにくい
といった理由で,しりすぼみで終わりました。
隠れた傑作も数多くあったのでしょうが,コンピュータ・ディスプレイに黒板やノートの代わりをさせただけといった類の作品が多かったのも事実です。
「CAI」のときといまとでは,メディアのパワーが圧倒的に違います。パソコンはマルチメディア・パソコンへと進化し,マルチメディアのアプリケーション・ソフトウェアは「簡単で高機能」を実現しています。教授/学習材を発表したり,学習者に届ける環境として,インターネットがあります。
もっとも,個人による教授/学習材の開発には限界があります。いまは教育産業の領分と考えるべきでしょう。「企業同士の競争とユーザからのリアクションが製品の質を高める」は教授/学習材の場合においても同様でしょう。
実際,小出しの教授/学習材は使えません。教授/学習材として出すときは,主題を網羅していなければなりません。「1冊の本」でなければなりません。教授/学習材は,「1」でなければ「0」なのです。