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リアリティ
わたしたちはつぎのように考えることによって,「主題の望ましい表現の追及」を「主題のリアルな表現の追及」と定めることにしましょう:
- 「リアル」とは,人が没入する傾向をもつようなものに対する形容に他ならない。
- 「良質な理解」へのプロセスのうちには,「主題の学習への没入」が含まれる。
主題を学習者にリアルに見せること,それは生活の中の素材を取り上げることを意味しません。主題のリアリティは,生活空間の中に求められるものではないのです。主題のリアリティは,フィクションのリアリティです。
主題の表現は物理的な現象ですが,その物理的現象の意義はフィクションです。フィクションを意義とするリアリティが,主題のリアリティです。(この意味で,フィクションと生活空間の対立は,ノン・リアリティとリアリティの対立と見られるべきではありません。)
主題の応用は,《フィクションを生活空間に対して応用する》というものです。主題は,先ずフィクションであり,フィクションとして自立しており,そしてこの上で,《生活空間に応用し得る》ということがあります。
繰り返しますが,主題をリアルに示すとは,生活的素材による解釈を導入することではありません。どこまでもフィクションとして,かつリアルに,示すということです。