- 少子化の傾向に伴い,日本はますます高齢化社会の度合いを深めている:
若年人口(15〜29歳) と高年齢人口(55歳以上) の推移と予測
- ここで「高齢化」の意味であるが,「人口に占める65歳以上人口 (老年人口) の割合が高まること」と定義される。(ちなみに,15歳〜64歳人口が「生産年齢人口」と呼ばれる。)
また,「高齢化社会」は,「老年人口の割合が7%を超えること」と定義される。
- 人口構成の高齢化の問題として,経済の観点からつぎのものが挙げられている:
- 労働供給面への影響
- 労働力人口の減少/労働力率(働ける人口の率)の低下
- 労働時間の減少
- 生産性の低下
- 投資需要に対する影響
- 年金の財源確保の問題
- また,福祉の観点からは,「高齢者1人を生産年齢者何人で支える」の言い方で,生産年齢者の負担が問題にされる。
つぎの表は,PSI 年報 (総務省, http://www.stat.go.jp/data/psi/index.htm) 2001年版の「将来推計人口」から引用したものに,「老年者1に対する生産年齢者の数」を追加したもの:
年次 |
総 人 口 (1,000人) |
年 齢 3 区 分 別 構 成 比 (%) |
老年者1 に対する 生産年齢 者数 |
総数 |
男 |
女 |
年少人口 (0〜14歳) |
生産年齢人口 (15〜64歳) |
老年人口 (65歳以上) |
2000 |
126,892 |
62,121 |
64,771 |
14.7 |
68.1 |
17.2 |
4.0 |
2010 |
127,623 |
62,272 |
65,351 |
14.3 |
63.6 |
22.0 |
2.9 |
2020 |
124,133 |
60,300 |
63,833 |
13.7 |
59.5 |
26.9 |
2.2 |
2030 |
117,149 |
56,694 |
60,455 |
12.7 |
59.3 |
28.0 |
2.1 |
2040 |
108,964 |
52,680 |
56,284 |
12.9 |
56.1 |
31.0 |
1.8 |
2050 |
100,496 |
48,617 |
51,879 |
13.1 |
54.6 |
32.3 |
1.7 |
- 人口構成高齢化の問題 (上述) への対策としては,つぎのものが挙げられる:
- 女性 (特に主婦)・高齢者(定年退職者)・外国人の労働参加により,労働供給増を実現する
- 規制緩和(参入障壁の撤廃等)により,つぎのことを実現する:
- 埋もれていたビジネスチャンスの発掘
- 投資増
- 生産性上昇
- 年金の問題に対しては,1994年の改正で,年金支給開始年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げ,働く高齢者への支給額を増やすことになった。(「60歳引退社会」から「65歳現役社会」へ)
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- また,高齢者福祉の考え方も,自立できない高齢者の保護だけでなく高齢者の自立を支援する施策にも重点を置く,というようになってきている。
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