- 「生涯学習」をつぎのような意味で「高齢化社会」と結びつける考え方があります。すなわち,「余暇の使い方としての──人生をより楽しく生きるための──生涯学習」というものです。趣味や娯楽と同列に学習を並べる考え方ですね。
- このときの生涯学習教育は,教養や趣味を中心にした内容で企画されることになります。実際,これまでの「大学公開講座」は,およそこのような内容で実施されています。
- このような生涯学習教育を,ここでは「自己充足支援型」と呼ぶことにします。
- 自己充足型の生涯学習に対し,社会が必要とする人材に自分を実現しようとする「生涯学習」が考えられます。このタイプの生涯学習に対応する教育を,ここでは「人材育成型」と呼ぶことにします。
- 自己充足支援型と人材育成型の区別の規準は,つぎのようになります:
学習で実現される新しい自分が,
- 自己満足されるものか
- 人材市場において満足される(他者満足される)ものか
- 自己充足支援型か人材育成型かは,つきつめれば学習者の意識の問題であり,学習主題で決定されることではありません。
- 例えば,大学の公開講座に「俳句」の講座があってそれを受講しに行く場合,趣味が理由であれば,その人にとってその講座は「自己充足型」であり,俳句の雑誌編集の仕事に就くことになり会社の上司から勉強してくるように言われたということであれば,「人材育成型」ということになります。
しかしそうはいっても,生涯学習教育を企画・運営する側では,その教育の特徴づけとして,自己充足支援型か人材育成型の区別を先ずはっきり立てることになるでしょう。
|