「モンスター」は,程度の凄さを言い表すことばである。質的な違いを表すものではない。
──「モンスター」に対する「非モンスター」があるわけではない。
「モンスター大学生」の「モンスター」は,ここでは,大学生の条件である「勉強・読書・思考」を欠く程度の凄さを言い表すのに用いている。
よって,社会問題として言われる「学力の低い大学生」と同じ意味である。
特に,「モンスター大学生」の症状は,「低学力」の発現の形に他ならない。
「学力」とは,文字通り「学ぶ力」のことである。
この力のある・なし (高い・低い) は,学ぶ行為ができるかどうかで測る。
「学ぶ行為ができる」とは,学ぶ行為をパフォーマンスできてしかも一応の結果を出せるということである。
そして,「学ぶ行為」とは,勉強・読書・思考といったものである。
モンスターは,自分の「低学力」症状を意識しない──すなわち,自分が特別拙いことになっているというようには思わない。
また,モンスターの「低学力」症状は,ことばで言って直るものではない。
以下,「モンスター大学生」の症状の領域の押さえとして,「低学力」の発現の形を簡単に押さえておく。
(1) 自学習できない
- 自学習の場・時間・体勢を,自らつくれない。
- 自学習しなければ試験で不合格になり,科目を落とすことがわかっていても,自学習できない。
(2) 読書しない・できない
- 本を読んでいないことが,気にならない。
読んでいない本のあることが,気にならない。
- 図書館に行かない。本屋に行かない。
- 教科書 (指定図書),参考書を買わない。
- 読書を課されても,読書しようとしない。
- 難しい本に向かわない。難しい本と向き合えない。
(3) 文章をつくれない
- 質問に対する答えが,文にならない。
- レポートが,書き方も内容も幼稚。
(4) 受講が意味をもたない
- 授業を受ける体勢をつくれない。 (私語など)
- 授業を受ける形がわからない。 (聞き流し)
(5) 課題研究ができない
- しない・できないで済ませようとする
- 課されていることを,しないで済ませようとする。
やっていなくても,それで済ませる。
- 課されていることをしないで済ます方法はないか?と考える。
近道はないか?と考える。
課されていることとは,別のことをする (量的に同じにすればごまかせる,と思う)。
- 必要量を満たしていなくても,それで済ませる。
- 指導されても,改まらない (改善できない)。
- ダメ出しの意味がわからない。
- 論理の間違いを指摘されても,(論理が身に付いていないので) 間違いがわからない。
- 「地に足を着けて」「腰を据えて」ができない。
一歩一歩地道に進む,ということができない。
(てきとうに形がつけば,それで<できた>とする。簡単に形にならないときは,放り出してやめる。)
- 「レポート/論文作成」が何をすることなのか,わからない
- たまたま目についたテクストを拾ってきて,適当な量を並べて,それで終わりにする。
(論理的に構成するのではなく,ただ集めて並べる。)
- レポート/論文をつくれない
- ストーリーの論理的構成ができない。
- 内容が幼稚で,論理もめちゃくちゃ。
- レポート/論文の「完成度」の概念をもたない/もてない。
レポートの再提出を課されても,同じものしかできない (改善できない)。
レポート作成にじっくり取り組むことができない (簡単に書いて終える,推敲しない)。
- 推敲を課されても,推敲できない。
(6) 授業欠席
- 好き勝手に欠席する。特に,無断欠席する。
- 出欠席を自己管理できない。
- 欠席数オーバーで科目を落とすことがわかっていても,欠席する。
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