Up モンスター大学生の症状 作成: 2008-03-08
更新: 2008-03-08


    「モンスター」は,程度の凄さを言い表すことばである。質的な違いを表すものではない。 ──「モンスター」に対する「非モンスター」があるわけではない。

    「モンスター大学生」の「モンスター」は,ここでは,大学生の条件である「勉強・読書・思考」を欠く程度の凄さを言い表すのに用いている。 よって,社会問題として言われる「学力の低い大学生」と同じ意味である。
    特に,「モンスター大学生」の症状は,「低学力」の発現の形に他ならない。

      「学力」とは,文字通り「学ぶ力」のことである。
      この力のある・なし (高い・低い) は,学ぶ行為ができるかどうかで測る。
      「学ぶ行為ができる」とは,学ぶ行為をパフォーマンスできてしかも一応の結果を出せるということである。
      そして,「学ぶ行為」とは,勉強・読書・思考といったものである。


    モンスターは,自分の「低学力」症状を意識しない──すなわち,自分が特別拙いことになっているというようには思わない。
    また,モンスターの「低学力」症状は,ことばで言って直るものではない。

    以下,「モンスター大学生」の症状の領域の押さえとして,「低学力」の発現の形を簡単に押さえておく。


    (1) 自学習できない

    • 自学習の場・時間・体勢を,自らつくれない。
    • 自学習しなければ試験で不合格になり,科目を落とすことがわかっていても,自学習できない。


    (2) 読書しない・できない

    • 本を読んでいないことが,気にならない。
      読んでいない本のあることが,気にならない。
    • 図書館に行かない。本屋に行かない。
    • 教科書 (指定図書),参考書を買わない。
    • 読書を課されても,読書しようとしない。
    • 難しい本に向かわない。難しい本と向き合えない。


    (3) 文章をつくれない

    • 質問に対する答えが,文にならない。
    • レポートが,書き方も内容も幼稚。


    (4) 受講が意味をもたない

    • 授業を受ける体勢をつくれない。 (私語など)
    • 授業を受ける形がわからない。 (聞き流し)


    (5) 課題研究ができない

    • しない・できないで済ませようとする
      • 課されていることを,しないで済ませようとする。
        やっていなくても,それで済ませる。
      • 課されていることをしないで済ます方法はないか?と考える。
        近道はないか?と考える。
        課されていることとは,別のことをする (量的に同じにすればごまかせる,と思う)。
      • 必要量を満たしていなくても,それで済ませる。

    • 指導されても,改まらない (改善できない)。
      • ダメ出しの意味がわからない。
      • 論理の間違いを指摘されても,(論理が身に付いていないので) 間違いがわからない。
      • 「地に足を着けて」「腰を据えて」ができない。
        一歩一歩地道に進む,ということができない。
        (てきとうに形がつけば,それで<できた>とする。簡単に形にならないときは,放り出してやめる。)

    • 「レポート/論文作成」が何をすることなのか,わからない
      • たまたま目についたテクストを拾ってきて,適当な量を並べて,それで終わりにする。
        (論理的に構成するのではなく,ただ集めて並べる。)

    • レポート/論文をつくれない
      • ストーリーの論理的構成ができない。
      • 内容が幼稚で,論理もめちゃくちゃ。
      • レポート/論文の「完成度」の概念をもたない/もてない。
        レポートの再提出を課されても,同じものしかできない (改善できない)。
        レポート作成にじっくり取り組むことができない (簡単に書いて終える,推敲しない)。
      • 推敲を課されても,推敲できない。


    (6) 授業欠席

    • 好き勝手に欠席する。特に,無断欠席する。
    • 出欠席を自己管理できない。
      • 欠席数オーバーで科目を落とすことがわかっていても,欠席する。