3.2 WWW
数学学習の重要な要素に「マイペース」があります。少なくとも小学校での算数の授業を除けば,数学の授業にリアルタイムでついていける学生は,非常にわずかであり,特異な学生といってもよいでしょう。数学の主題の理解には,上手にデザインされた学習材の提供とともに,理解のための十分な時間を保証してやる必要があります。
インターネット・テクノロジーは,「マイペース学習」を構築できる環境をももたらしてくれました。WWWです。
マイペースで,そしてわからないところは何回でも繰り返して学習できる学習材の候補は,CD-ROM とWWWページです。そしてそれぞれに有利不利があります。
学習者にとっては,CD-ROM が手軽です。しかし,予定の中でしかインタラクティビティがありません。質問を発して答えをもらうというようなこと(WWWページでは実現できること)ができません。
コンテンツ制作者にとっては,WWWページの方がはるかに手軽です。CD-ROM であればある程度完成した形で出さねばなりませんが,WWWページではいつでも修正更新が可能なので,小出しからはじめて「自転車操業」みたいなこともできます。しかし,かわりに,ファイルサイズが大きいコンテンツは扱えないという制約を科せられます。