Up 指導と強制のジレンマ :「強制収容施設」としての学校 作成: 2006-11-08
更新: 2006-11-08


    わたしたちの社会は,ほんとうなら実に不思議な光景を,あたりまえにしてきている。 すなわち,「朝から夕方まで,子どもが往来から消える」という光景。
    この光景は,歴史的にはほんとうについ最近,そしてごく限られた地域から起こったものである。

    子どもが消えるのはどうして? ──学校に強制的に収容されるため。

    学校が「強制収容施設」であることを,わたしたちはふつう,<手段>ないし<結果>と考える。 しかし,学術研究的に考究していくとき,それは<目的>にもなっていることがわかる。
    すなわち,わたしたちの社会は,子どもが一定時間いなくなること,子どもを一定時間かまわなくて済むことを,必要とするものになってしまっている。


    「学校=強制収容施設」は,小中9年間の義務教育に関わるさまざまな問題を理解する上で,最も重要な視点になるものの一つである。 実際,「学校=強制収容施設」の論理的含意として,学校のさまざまな現実の問題が導かれる。

      例えば,「いじめ」の問題においては,学校のもつ「逃げ場のない空間」の意味が顕在化する。