Up 生一事不若減一事 作成: 2007-10-06
更新: 2007-10-06


      興一利 不若 除一害  一利を興すは,一害を除くに若(し)かず
      生一事 不若 減一事  一事を生(ふ)やすは,一事を減らすに若(し)かず
      (耶律楚材,『十八史略』)


    2009年度より教員免許更新制が開始することになっている。 そしてこの度,中央教育審議会/文科省のワーキンググループが,更新に必要な講習の内容および修了認定の基準について,素案を出した (2007-10-03)。

    講習および修了試験の実施機関は,大学が主たるものとして想定されている。
    試験は筆記と実技でなる。実技は模擬授業。


    大学は,ずいぶんバカにされると思えば,今回のように急に信用される。
    さっきまで
      大学教員の授業力はなっていない
      FD (ファカルティ・ディベロップメント) をやれ
    が言われ,予備校教師などを講師に招いてFDを実施した大学が新聞紙上で褒められ (バカにされ) ていたのが,つぎは,「10年目研修だ」「教員免許更新だ」で,
      大学教員が現職教員を指導/評価すること
    となる。

    筆記試験は「センター試験」のように一律にできるかも知れないが,講習や実技試験は実施機関によってバラバラになる。──「これの実施に要する人材/労働力がどこから出てくる?」という問題に進む前から,すでに構造破綻を来しているのだ。


    ソルーションは,つねに
      やるべきことを普通にちゃんとやれ
    である。

    ところが,未熟な者は,問題に対して「改革」のスタンスをとる。
    また,ソルーションを諮問される立場に立たされると,(「やるべきことを普通にちゃんとやればいいんだ」と言いたいが,そうすると「アタマが悪い/仕事をしていない」と思われてしまうのではとおそれ,) これまた「改革」のスタンスをとってしまう。 (中央教育審議会は,これである。)
    ──すでに集団心理になってしまった「成果主義」も,原因している。

    いまは世の中全体が狂っていて,どうしようもない」「落ち着くのを待つしかない」も一つの見識である。ただし,つぎのことはお互い言い続けるべきである:

      興一利 不若 除一害
      生一事 不若 減一事