Up 「競争に生き残る」は装飾/騙詐に進む 作成: 2007-04-14
更新: 2007-04-14


    「競争」を環境と定められ,「生き残り」のスタンスでこれからを生きようとするとき,ひとは本業をないがしろにする。 競争は一時の流行りだが,流行りに本業を犠牲にする。
    これは計算に合わないことだが,計算に合わないことをさせているのは<狂気>である。

    「競争に生き残る」という思いにとらわれると,いまの本業は古臭くてくすぶったものに見えてくる。 「ピカピカ輝いて,人を呼び込むようなものでなければならない」と考えるようになる。
    そこで,装飾に向かう。
    そして,「装飾の競争に生き残る」を「競争に生き残る」の意味にしてしまう。


    装飾は,騙しと同じである。
    装飾を追及しているつもりで,騙詐を犯す。
    本業を壊し邪道に進んでいるのに,「もっとよくなりました」「もっとすばらしいものに生まれ変わりました」と謳う。

    騙しは,自分に対しても起こっている。
    装飾を追っていると,装飾が自分にとってリアルな存在になってくる。
    無内容なのに内容があるように錯覚する。

    そしてついに,装飾=騙詐が自分でわからなくなる。

      詐欺行為で捕まる者の多くは,はじめから詐欺行為と承知してこれを犯すのではない。無理から出発することで,装飾=騙詐の度を過ごすことを自ら余儀なくする。そして装飾=騙詐の度を過ごすことに感覚麻痺していく。



    巧言令色 鮮矣仁 巧言令色 鮮(すくな)いかな仁 (『論語』学而第一)