Up 歴史観 作成: 2007-04-03
更新: 2007-04-03


    「改革」はこれまであったものの上に築かれる。
    しかしそれは,これまであったものを残す形の上層建築ではない。
    これまであったものは捨てられ,そして今後取り戻されることはない。

    「改革」は,つぎのスタンスで行われる:
      「現状を続ければ自分のいまの図体は保てない。
       そこで,自分のいまの図体を保てる方向に進む。」
    自分のいまの図体を保つ方向は,「進歩」の方向とは関係ない。 単に経済的有利を求める方向である。

    経済的有利を求めるとき,ものは金に表現される。
    金銭的に劣るものは,捨てられる。 ──ものを見ない方法論につくことにより,簡単に捨てることができる。
    そして,一旦捨てられたものは取り返せない。

    例えば,石器時代が土器の時代に変わるとき,石器づくりの技は失われた。
    武士の時代が終わるとき,刀づくりの技は失われた。
    プラスチックの日常用品のマスプロダクションが興って,木工の技は失われた。
    伝統工芸は,昔の技を再現しているものではない。 専門性は,使われなくなった時代には継承されない。──継承は不可能である。
    昔の技は取り戻せない。博物館に出向いてそれを鑑賞し,ただ感嘆するのみ。

    特に,歴史は人類の発達史ではない。