Up | 「モラル欠損」の意味 | 作成: 2006-12-25 更新: 2006-12-25 |
「図書館の図書が傷つけられる」は,いまのところ「傷つけられた図書を発見」のストーリーで,「図書を傷つけているところを発見」のストーリーではない。 そこで考えることになるのだが,図書を傷つけているところを発見の場合,図書館員はどういう行動に出るか? 「図書館の図書を傷つける」とは,想定されていない行為である。 「図書館の図書を傷つけてはいけません」という注意は,本来あり得ない。 「図書館の図書を傷つける」という行為は,社会通念では,<悪意>か<狂気>になる。 よって,図書を切り抜いている相手に対して何か行動を起こすときは,相手の手にある刃物が自分に向かってくることの覚悟もあってのこととなる。 「モラル欠損」は,子どもの段階では「未熟」の意味になる。よって,注意や教育でこれに対する。 一方,オトナの「モラル欠損」は,「得体が知れない」の意味になる。 モラル欠損のオトナは想定外であるからだ。 実際,モラル欠損のオトナは,不気味な存在──普通に対することのできない存在──になる。 「モラル欠損」の社会問題は,単に「迷惑行為をする行儀の悪い者が増えてきて困る」という問題ではない。「得体が知れず相手にできない者が増えてきて困る」という問題である。 自分とは異質であっても,何か一つの類型におさまっている相手 (異種) とは付き合える。 しかし,類型の立てられない相手 (新種) とは付き合えない。 自由主義・デモクラシーで謂う「個の多様性」は,異種の多様性である。 これは,既存の枠組みにおさまる。 一方,新種は,既存の枠組みから外れる。 これが「モラル欠損」の社会問題化の意味である。 ──実際,「モラル」の要点は「新種の抑制」にある。 |