Up | 「無用の用」 | 作成: 2008-09-13 更新: 2008-09-13 |
日常生活で使うだけのものを教えてくれればよい。」 「日常生活で使うだけのものを教える」とは,それだけを残して,ほかを無くすこと? ──それだけにして,意味を保てるのかな? 自分が対象化している存在Aは,Aと共にあるものによって,存在になっている。 Aと共にあるものを除いてAのみにするとき,それはAでなくなる。 何かが存在するためには,それをポジとするところのネガが必要になる。 ものごとは,ほかの多くのものごとと「互いに支持し・位置づけし合う」関係をつくるようにして,<存在>する。 このことは,学習経験をたくさん積まないとわからない。 そこで,学生などは,「数学は,日常生活で使うだけのものを教えてくれればよい。」みたいなことを言ってしまう。 「日常生活で使うだけのもの」を切り取ることができると思ってしまうのである。 「役に立たない」を言うときには,「役に立つ」とはどういうことかを考えねばならない。 「役に立つ」は,「役に立つ」としているもの以外を除くとき,依然「役に立つ」として残っているか? ──残らない。 これを,「無用の用」と謂う:
ちなみに,ソシュールの「差異が意味をつくる」も,荘子の「無用の用」と同じ。 |