A,B,C3社は,はさみを商品にしている。
3社には,品質が同等のはさみがある。そしてともに,2000 円の定価をつけていた。
ここで,C社が生き残り主義に立つべきだと考えた。
そして,はさみに 1000円の定価をつけることにした (価格破壊)。
1000円の定価のはさみを実現する方法は,つぎの3通りである:
- 自分や下請けの生活を困窮にする。
- 定価 2000 円のはさみと同じ形の廉価品を,同一品と偽って 1000円で得る。
- 定価 1000 円が相当の品質のはさみを主要商品にして,1000円で得る。
生き残り主義社会には,このいずれもが現れる。
場合Bは,「偽」文化。
場合Cは,「安かろう悪かろう」文化。
註1. |
「偽」とは,同じ形 (見掛け) をした廉価品を意味する。
「偽」の要点は,「良品と同じ形のものを,廉価につくることができる」にある。
良品と同じ形の廉価品を「良品そのもの」と偽って商品にすれば,これは「偽装」という詐欺である。
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2. |
「百円ショップ」は,良品と同じ形をした廉価品であることを示すために,「百円」という値(ね)を示す。
「百円ショップ」ではさみを買った者は,良品と同じ形をした廉価品であることを承知して,はさみを買っている。よって,家に帰ってそれが使い物にならないことを知っても,訴えることはしない。
「Made in ○○」は,良品と同じ形をした廉価品であることを示すためにも,使われる。
この場合,「Made in ○○」を承知で買った者は,それが粗悪品であることを知っても,文句は言わない。
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ひとは廉価に慣れていく。
「品質の良さ」の実現のために使われている経費を,評価しなくなる。
C社に価格破壊をされたA,B社は,やがて C社のやり方に倣う。
こうして,2000円定価のはさみが消える。
ひとは「品質の良さ」に出会わなくなる。
よって,「品質の良さ」を知らない者になる。
──「形 (見掛け) が同じなら,中身は同じ」「ブランド品が尊い」の文化へ
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