Up 生き残り主義社会は「ゼロ・サム競争」社会 作成: 2008-01-07
更新: 2008-01-07


    生き残り主義社会は,一つのパイの取り分を争う社会 (「ゼロ・サム競争」社会) になる。

    地元のAスーパーマーケットのすぐ隣に,スケールの大きさをメリットにしたBスーパーマーケットが建ち,A の顧客をとって,Aを潰してしまう。
    しかし,スケールや廉価や新しさをメリットにしたCスーパーマーケットがBの近所に現れ,Bを潰す。
    つぎに,スケール,廉価のメリットに加え特色的高級ブランド,設備,デザインの新奇さをメリットにしたDスーパーマーケットがCの近所に現れ,Cを潰す。
    機能面での差別化にもう限界がきたところで,専ら新しさをメリットにしたEスーパーマーケットがDの近所に現れ,Dを潰す。

    消費者の飽きっぽさに翻弄されるだけで,本質的な意味の「進歩」の存在しない「ゼロ・サム競争」。 ──むしろ,「偽」文化を進める「ゼロ・サム競争」( 生き残り主義社会は「偽」文化の社会) 。


    「ゼロ・サム競争」は,「共生」の否定である。
    ここしばらく,「規制緩和・新規参入」のことばが「既得権益者(悪玉)を新規参入者(善玉)が退治」のイメージで使われてきた。併せて,それが招く事態を直接見ることになって,悪玉・善玉の問題ではないことが知られるようになってきた。
    「規制緩和・新規参入」は「ゼロ・サム競争」に進み,「共生」を成り立たせなくする。 実際,「規制」は「共生」の装置に他ならない。

    「規制緩和・新規参入」で影響される系は,きわめて複雑な系である。
    稚拙な策 (単純なアタマが考える策)は,社会に甚大な被害 (単純なアタマにとって「想定外」の被害) をもたらす。
    そして,稚拙な策「規制緩和・新規参入」の被害の形が,「ゼロ・サム競争」である。