Up 複雑系を前にしての思考停止 作成: 2007-12-11
更新: 2007-12-11


    複雑系の前では,ひとは思考停止する。
    この「思考停止」には,二つのタイプがある。

    一つは,複雑系が「理解不能」と受け取られる場合。
    ──手がかりや成算が皆目見えないとき,思考停止するしかない。 (「研究」に及ぶのは,手がかりや成算が微かなりとも見える場合である。)

      例:「わたしはなぜわたしなのか?」の問題には思考停止で応ずる。


    もう一つは,複雑系が単純に解釈される場合。
    ──単純な解釈に終始することが,この場合の「思考停止」。

    複雑系は,単純に解釈されやすい。 複雑系の「理解不能」は,「何を言っても,真偽・正誤の問題にならない」「なんでもあり」に通じるからだ。
    実際,複雑系であるほど,素人談義のテーマになりやすい。 「教育」とか「環境問題」がその最たる例である。


    複雑なものが単純に解釈されるとは,間違って解釈されるということである。 よって,このタイプの「思考停止」は,必ず問題を引き起こす。