Up 汚染水 : 要旨 作成: 2024-08-17
更新: 2024-08-17


    地下の高レベル放射性物質は,水に浸潤される。
    高レベル放射性物質を浸潤した水は,高レベル放射性物質を含む水になる。
    これを「汚染水」と謂う。

    汚染水は,移動して海に流れ出る。
    汚染水に対しては,
    • これのもとになる水の制御
    • 海洋流出阻止
    • 「無害化」
    に努めることになる。
    この努力分野を「汚染水対策」と謂う。


    汚染水のもとになる水は,
    • 降水
    • 地下流水
    • 燃料デブリ冷却水

    降水と地下流水に対しては,「遮断」でのぞむ。
    しかし燃料デブリ冷却水は,無くすわけにはいかない。
    このため,汚染水とはこの先ずっと付き合うことになる。,


    降水に対しては,建屋地下に浸透させないよう,つぎのことをする:
    • 建屋屋根破損部を補修する
    • 原子炉施設敷地を完全舗装し,降水をドレインに導く

    原子炉建屋の周りは,瓦礫および不要物の撤去が進められてきた。
    これには,「廃炉作業」をやり易くすることと,敷地を完全舗装することの,二つの意味がある。
東京電力ホールディングス「廃炉中長期実行プラン2024」, p.3 から引用:


    地下水流に対しては,敷地の地下に流れ込まないよう,地下防壁をつくる。
    土木建築作業としてこれを行うことは高線量被曝環境下では無理なので,「凍土遮水壁」でこれをやってきている。
鹿島「なぜ氷で壁をつくるのか」,から引用:



    しかし,建屋地下への水の浸入は,無くせることではない。
    汚染水はコンスタントに産生される。
    これは,海に流してはならないから,タンクに保管する。

    汚染水に対しては,放射性物質除去の処理をする。
    これは,"ALPS" 名の方法/設備でこれまでやってきた。
    そこでこの処理水は,「ALPS 処理水」と呼ばれる。
    ALPS は放射性物質を完全に除去するわけではなく,特に水素同位体である放射性物質トリチウムを水の形で残している。


    タンクは,一時保管タンクも ALPS 処理水タンクも,増える一方になる。
国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス から引用:
2022年5月



    そこで,ALPS 処理水を海水で薄めて,海に流すことにした。
    この希釈処理水を,改めて「処理水」と謂う。
東京電力ホールディングス「廃炉中長期実行プラン2024」, p.12 から引用: