- 非定住 (漂泊民,漂泊的生活者)
- 無籍 (法制の埒外)
- 有籍 (定住民) の「穢多・非人」と区別される
- 「穢多」:「宗門人別改帳」で,カテゴリー「穢多」に記載
- 「非人」:「非人別改帳」に記載
- 遊芸者,番太,‥‥
- 庶民身分の剥奪として「町方人別帳」から除籍した者
- 呼称「サンカ」
- 明治以降,以下の総称ないし以下を方言とする共通語というふうになっていく:
ミナオシ,ミーブチ,ミーヤ,テンバ,テンバモン,ヒニン,
ポン,ポンスケ,オゲ,オゲタ,サンカ,サンガイ,
ノアイ,ケンシ,カンジン,‥‥
- 溯行
- 分類
- 細工系──箕作り系・筬作り系
ミナオシ(箕直し),ミーブチ(箕打ち),ミーヤ(箕屋),
テンバ,テンバモン,
ヒニン,‥‥
- 川漁系
ポン(鼈),ポンスケ(鼈助),
オゲ,オゲタ,
サンカ(山窩),サンガイ,‥‥
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柳田国男「ポンの行方」
主たる渡世は川漁で,中にも亀類はよく捕る。
我々には想像も付かぬ小流れから,ちゃんと亀の穴を見出して,いればきっと捉える。
ポン又はポンスケの名も多分は鼈から出た我々の命名であろう。
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但し,細工と川漁は,むしろ両立を考える方がしぜんである:
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柳田国男「「イタカ」及び「サンカ」」
彼等の最も好むは川の岸なり。
その理由は水筋に沿いて上下するの便あると、水を得やすきと魚を捕え流れ物を拾うとの利あるほかに、川端は遠方より見らるる虞あるに似たれど、川除地には竹薮多くして密陰をなし小屋
掛けの手数少なき上に、無代にて手工品の原料を得るの便もあればならん。
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源流 (原像)
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礫川全次『サンカ学入門』, p.66
a. |
漂泊の芸能民
柳田國夫は早くからクグツ(傀儡) がサンカのルーツだとしている。‥‥
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b. |
浮浪者
‥‥
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c. |
狩猟採集民
サンカが縄文以来の狩猟(漁)採集民の後育であるという見方も魅力的である。彼らがスッポン、マムシ、薬草等の自然の産物を持参し、農民と交易していたのは、それほど以前のことではない。
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d. |
竹細工師
サンカと竹とのかかわりは決定的である。サンカは各種の竹製品や竹細工を作り、売っていた。その製品とは、ササラ、籠、ホウキ(箒)、箕などである。また、サンカが川漁をする時に使う漁具も竹製品である。なお、「竹の民俗誌』(1991) の中で沖浦和光氏は、竹には「呪力」があり、籠や箕といった竹製品は「呪具」とみなされてきたと述べている。
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「クグツ」との関係
賤視
- 芸能人に対する賤視が昭和半ばになっても残っていたが,これは遊芸者に対する「非人」視のなごり。
例. アニメ「おもひでぽろぽろ」で,主人公の劇団入り希望を父が却下
- 参考文献
- 柳田国男
- 「「イタカ」および「サンカ」」, 人類学雑誌, 1911,1912.
- 『柳田國男全集 4』, ちくま文庫, 1989.
- 『サンカ──幻の漂泊民を探して』(シリーズ KAWADE 道の手帳), 河出書房新社, 2005. pp.136-153.
- 「ポンの行方」, 東京朝日 (連載「秋風帖」), 1920.
- 『柳田國男全集 2』, ちくま文庫, 1989.
- 『サンカ──幻の漂泊民を探して』(シリーズ KAWADE 道の手帳), 河出書房新社, 2005. pp.134,135.
- 参考:
- 門馬幸夫
- 「柳田国男と被差別部落の問題」(『民族宗教』第1集, 創樹社,1987)
- 「柳田国男と被差別部落」(『差別と穢れの宗教研究──権力としての「知」』, 岩田書院,1997)
- 喜田貞吉
- 「サンカ者名義考──サンカモノは坂の者」, 民族と歴史, 4巻3号, 1920.
- 『サンカ──幻の漂泊民を探して』(シリーズ KAWADE 道の手帳), 河出書房新社, 2005. pp.154-159
- 青空文庫
- 「サンカ者の名義に就いて」, 高志道, 5巻1号, 1939.
- 『サンカ──幻の漂泊民を探して』(シリーズ KAWADE 道の手帳), 河出書房新社, 2005. pp.159-161
- 宮本常一
- 「サンカの終焉」
in『山に生きる人びと』(日本民衆史 2), 未來社, 1964
- 礫川全次『サンカ学入門』, 批評社, 2003.
- 『サンカ──幻の漂泊民を探して』(シリーズ KAWADE 道の手帳), 河出書房新社, 2005.
- 筒井功
- 『サンカ社会の深層をさぐる』, 現代書館, 2006.
- 『サンカの起源』, 河出書房新社, 2012.
- 『日本の「アジール」を訪ねて 漂泊民の場所』, 河出書房新社, 2016.
- 『忘れられた日本の村』, 河出書房新社, 2016.
- 参考Webサイト
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