Up 第二会社 → 残余消尽 → 鉱山終了 作成: 2024-01-16
更新: 2024-01-16


    鉱山は,埋蔵量を尽くす前に,経営が立たなくなる。
    生産が先細る一方なのに対し,人件費 (諸手当) や人員数の削減はできないからである。 ──削減しようとしたら,鉱員の猛反発に遭う。
    企業は赤字経営が続き,そして終ににっちもさっちもいかなくなって,閉山となる。

    閉山になっても,山にはまだ鉱床が残っている。
    赤字経営にならないように経営を整えれば,即ち人員数と経費を大きく削減すれば,もう少しは企業を続けられる。
    こうして,閉山は第二会社の立ち上げを伴う。


    以下に,三井美唄炭鉱と三菱美唄炭砿の整理・閉山に伴って興った第二会社の出炭量を示す。
    三井美唄炭鉱系を橙色,三菱美唄炭砿系を青色で表す。
    見てわかるように,総出炭量が,第二会社になってからも維持されている。
    これは何を意味するか?
    三井三菱の両炭鉱は,人員と経費がひどく過剰になっていたということである。
    両炭鉱の閉山は,「肥大化した図体が自重で潰れる」なのである。
『美唄市史』,1970. p.474-から引用:
























九 東
州 美
鉱 唄
山 鉱













昭和26
  27
  28
  29
  30
  31
  32
  33
  34
  35
  36
  37
  38
  39
  40
  41
  42
  43
861,250
742,700
587,100
638,700
577,800
623,500
572,300
559,400
502,100
529,500
518,700
381,200
69,070
1,126,258
1,007,592
1,116,100
979,10
996,610
960,900
1,016,900
944,300
956,400
1,062,500
940,200
942,300
961,300
1,044,600
125,400
81,300
92,800
84,100
86,600
83,200
99,000
133,100
132,400
138,900
181,600
184,600
171,200
187,500
157,600
172,500
179,700
23,776
23,744
25,457
28,373
25,520
27,800
31,460
31,850
33,120
37,420
44,270
43,270
40,520
48,530
51,580
57,250
699
4月まで

11,945
13,770
15,970
20,530
24,980
35,450
35,940
35,570
43,810
69,300
73,800
71,500
69,400
74,300
75,500
102,800
91,000



1,012
56,262
81 ,827
103,615
103,570
104,395
143,968
144,110
137,920
130,530
174,760
135,395
44,822
7,137
5月まで





29,111
51,994
60,937
54,643
71,214
89,883
101,224
85,541
51,298
12,144
9月まで










1,905
14,333
12,016











41,950
81,544
114,110
138,400
162,600
160,600
107,316














938,700
1,027,200
1,088,600
921,200













5,850
5,742
2,000
1,842
2,031


    第二会社は,利益が出る間は,残っている石炭を掘り出す。
    しかし,需要に対し過剰出炭になっていれば,経営は立たない。
    そうでなくとも,掘り出すごとに良い鉱床が無くなっていくわけであるから,利益は減少していくのみである。

    こうして第二会社は,国の補助をもらってなんとかやり繰りするという(てい)になる。
    最初からこうなることが定めである。
    この体は続くものではない。
    第二会社は終わり,これを以て鉱山は完全に終わる。