Up 時代に翻弄される──基幹産業の宿命 作成: 2024-01-18
更新: 2024-01-18


    石炭産業は,石炭がエネルギーの時代の産業である。
    そしてその時それは,基幹産業である。

    基幹産業は,時代の流れに翻弄される宿命にある。
    石炭産業は,国内が産業躍進にノリノリの時代には,大増産が求められる。
    そしてこの高需要の後には,不況の反動が来る。  


    石炭産業が軌道に乗り始めたのは,大正の初め。
    このとき,第一次世界大戦の勃発が石炭産業の追い風になる。  

    つぎに世界恐慌が来る。
    石炭産業は,不況に苦難する。  

    つぎに中国・米国との戦争が始まり,石炭の大増産が求められる。
    しかし,鉱員は兵隊に徴集される。
    炭鉱は,人員を朝鮮人・中国人の徴用で間に合わせることになる。
    併せて,無理矢理の増産を進める。
    こうして,炭鉱はぐちゃぐちゃになる。  

    そして,敗戦である。
    炭鉱はこの難局を,国の支えで乗り切ることになる。
    (基幹産業は時代に翻弄されるが,難局では国の支えが得られる。)  

    そして朝鮮戦争特需が来る。
    石炭産業は好況になる。  

    しかし戦争が止めば,たちまち反動が来る。
    炭鉱は再び,国の政策的バックアップでやっていく。  

    そして,石炭から石油へのエネルギー転換の時になる。
    慢性的赤字経営の石炭産業は,これでとどめを刺される。
    炭山は,雪崩を打って閉山する