Up 北海道知事「道民の命守る戦い」禍 作成: 2020-11-10
更新: 2020-11-10


    感染症に対する行政の構えは,つぎの2通りになる:
      A.「感染して構わない,生業(なりわい)をそのまま続けよ」
      B.「感染してはならない,生業を止めよ」

    この2通りは,つぎの2通りと重なる:
      A.「感染するより,失業することの方がたいへんだ」
      B.「感染する方が,失業することよりたいへんだ」

    またこの2通りは,つぎの2通りと重なる:
      A.「感染は,とっくに広まっている」
      B.「感染は,いま同定されているものがすべてであり,抑え込める」


    新型コロナウィルス感染の死亡率は,ヒトコロナウィルス (「風邪ウィルス」) とインフルエンザウィルスの間に収まっている。
    そして死亡者は,基礎疾患者か高齢者に偏っている。
    失業を心配せねばならない年齢層だと,ふつうの風邪程度に考えればよい感染症である。
    したがって,新型コロナへの行政の対応は,ヒトコロナやインフルエンザへの対応と同じに考えればよいことになる。

    ヒトコロナウィルスやインフルエンザウィルスの感染に対しては,行政はAを択る。
    したがって,新型コロナに対して行政が択るのは,Aということになる。

    しかし,行政は,新型コロナウィルスの感染に対しては,Bを択った。


    マスコミは,行政のA選択を支持する声を,国民の声として集める。
    しかし,「当然だ」「しかたがない」を言うのは,失業と無関係な者,失業を心配しなくてよい者である。

    「ウィズ・コロナ」不況下の失業は,再就職先が見つからない失業である。
    失業は,お先真っ暗になることである。
    失業する者からは,「しかたがない」の声は決して出て来ない。
    「ウィズ・コロナ」が鼻持ちならないのは,生活を保てる者の声が正義になるところである。


      読売新聞, 2020-11-08
    コロナ警戒「3」
    「道民の命 守る戦い」
    知事と札幌市長 27日まで集中対策
     新型コロナウイルスの感染拡大を受け、鈴木知事は7日、警戒ステージを3に引き上げた。 同日、秋元克広・札幌市長と記者会見し、ススキノの飲食店を対象にした営業時間の短縮要請などの対策を説明。 27日までを感染拡大を防ぐための集中対策期間とし、「ススキノ、札幌、北海道の感染拡大を食い止め、道民の命と健康を守るための戦い」と危機感を示しながら語った。
    ススキノ時短要請 「効果的に感染防止」
     「極めて難しい課題に向き合っている。何としても11月で抑え込む」──。
     会見でこう決意を述べた鈴木知事。 ステージ移行の七つの指標のうち、利用病床数が目安の250床を超える314床になるなど6日時点で六つの指標で基準を超えていることを指摘。 発熱やせきなど体調不良時に外出を控えることや、テレワークや時差出勤のさらなる活用を訴えるなど道民に感染予防の行動をとるように訴えた。
     最も強調したのがススキノの感染予防の重要性だ。 「全道からの往来が多い地域」とし、道内の感染の中心になっていることを説明したほか、全道一律ではなく、地区や業種を限定することで効果的な感染防止対策ができるとした。
     ススキノ対策として、道と市は約4000店を想定し、要請を受け入れた店に支援金20万円を支払う。 自粛要請の内容は業種に応じて違い、午後10時からの営業自粛か酒類提供自粛の2種類に分かれている。 要請期間は7日からだが、準備期間などが必要なため、支援金が発生する自粛期間は11〜27日となっている。 経費は8億8000万円が見積もられ、道と市が折半する方向で調整が進められている。
     鈴木知事は「感染対策を講じ、(感染が収まった後は) 多くの方に来ていただけるようにする」とし、秋元市長も「ススキノという 名前を守っていく」と述べ、感染を食い止めることが長期的にはススキノを守ることにつながるとした。
     一方、ステージ3では、感染拡大地域との往来自粛を求めることができる。 ただ、鈴木知事は感染拡大防止と社会経済活動の両立の重要性に言及し、移動ではなく、移動先での行動が感染リスクに影響するとし、「現時点で人の往来を止めていく段階ではない」と慎重な姿勢を示した。
     道や市からの自粛要請について、すすきの観光協会の大島昌充会長(67)は、「要請に従って流行を抑えないと客足は戻らず、ススキノはなくなってしまう」と理解を示す。 大島会長によると、国の緊急事態宣言中も一部の飲食店は通常通りの営業を続けており、「全員が歩調を合わせないと感染を止めることができない。一致団結して危機を乗り越えていく」と語った。


    北海道は,「おっちょこちょい知事」効果の実験場になっている。
    いまの局面は,「道民の命守る戦い」とはしゃいだが,これには「Goto」から外されるという含蓄があることがわかって,おとなしくなったところである。