Up 反戦派の存在割合 作成: 2021-08-24
更新: 2021-08-24


    戦争は,ひとが異常心理に陥る状況である。
    その異常心理を誘導し煽るのは,マスコミである。
    政府は,マスコミを世論に見立てるポピュリズムに堕す。
    政治は大本営スタイルに陥り,軍部の言いなりになる。

    国民は,主戦と反戦に分かれる。
    主戦派は,戦争への政府の取り組みを手ぬるいと見て,反政府になる。
    反戦派は,戦争にずるずる巻き込まれるのみの政府を見て,反政府になる。
    こうして,国民の政府に対する支持は,下降の一途になる。

    マスコミは,戦争を正義にして,国民を戦争へ一致団結となるものとする。
    こうして,政府支持の下降一途を,政府の戦争への取り組みが手ぬるいためということにする。
    ポピュリズム政治はこのマスコミに追従するのみであり,さらに戦争にのめり込んでいく。

    政治不信と戦争政治が,正のフィードバックの関係になっているわけである。
    そして<正のフィードバック>ダイナミクスは,<破滅への螺旋>ダイナミクスである。
    戦争は「終わらない戦争」になり,行き着く先は<破滅>である。


    「新型コロナ」は,上の一般論をそっくりなぞっている。

    ひとは,「新型コロナが恐い──ウィスルを封じ込めろ」派 (主戦派) と「新型コロナなんか放っておけ──普通に生活しろ」派 (反戦派) に分かれている。
    マスコミは,主戦派を全体にする。
    反戦派の存在を隠蔽する。
    マスコミは,つねに戦争全体主義である。

      ちなみに,これと全く同型で,マスコミは災害全体主義である。
      ひとは,「災害が恐い──災害を封じ込めろ」派 (主戦派) と「災害なんか放っておけ──普通に生活しろ」派 (反戦派) に分かれる。
      マスコミは,主戦派を全体にする。
      反戦派の存在を隠蔽する。


    NHK の世論調査によれば,2021-08-10 の時点で,
      内閣支持 29%,不支持 52%
    マスコミはこの「内閣不支持」を,つぎのように見せようとする:
      内閣不支持 = 政府のコロナ対応に対する不支持
            = 感染対策が手ぬるいことに対する不支持

    事実はどうか?
    感染対策をきびしくしろと政府に迫っているのは,野党である。
    彼らは,ロックダウンやワクチン接種義務化を唱える。
    では同じNHK世論調査で政党支持率はどうなっているかというと,
      自民党 33.4%
      自民党以外 17.4%
      残り 49.2% (支持政党無し42.8%,無回答 6.4%)
    どこにも行き場のない反戦派は,多くが「残り 49.2%」の中に潜んでいる勘定である。


    マスコミが隠蔽に努める反戦派は,どのくらいの割合で存在しているものか?
    つぎの記事は,一つのヒントである:

      読売新聞, 2021-08-24
    各国足踏み「7割の壁」
     年明けから世界最速ペースでワクチン接種を進めたイスラエルは、規定の接種回数を完了した人が3月中旬に50%を超え、その後は伸び悩んで現在は63%にとどまる。 米国は51%、英国も61%と接種率は頭打ちで、日本に先行して接種を進めてきた各国は人口比50〜70%で足踏み状態となる「7割の壁」に直面している。
     ドイツの事例が顕著だ。 英オックスフォード大などが集計するアワー・ワールド・イン・データによると、6月の1か月間だけで約1600万人に上った接種完了者は8月前半の半月では約400万人に急落した。 メルケル首相は「ペースがかなり落ちている」と危機感をあらわにしている。
     接種は開始当初、高齢者や医療従事者ら優先対象者の聞で急速に進む。 各国がその後直面するのは、ワクチンへの拒否感や安全性の不安を抱える人、高齢者に比べ重症化リスクが低いとして「危機感が薄い」(米専門家) とされる若者層に接種を促すという課題だ。
     米国では、一部の州が接種者への現金給付を先行実施したところ、接種率向上の効果が確認された。 パイデン米大統領は7月末、接種者への100ドル (約1万1000円) 支給を全米に展開するよう呼びかけた。
     ワクチン接種義務化の動きも進んでいる。 米ニューヨーク市は店内飲食など屋内活動に際し、接種証明の提示を義務づける方針を発表した。 グーグルやフェイスブックなど米IT大手も、オフィスに出社する従業員に接種を義務化した。
     欧州でも、飲食店などの利用で接種済みを証明する「衛生パス」などの導入が進む。 ドイツは、今春から続けていた抗原検査の無料実施を10月11日から原則停止とする。 検査を有料化することで、生活の利便性を考慮する国民が接種に動く促進効果を狙っている。

    この記事のねらいは,ワクチン接種を受けていない者を危機感が薄い愚か者と定め,愚か者を正義に向かわせるには強制しかないとして,ワクチン接種義務化へと政治を誘導することである。
    しかしこの記事が図らずも伝えていることは,反戦派がまだけっこうな割合で存在しているということである。


    「愚か者を正義に向かわせるには強制しかない」政治は,成功するか?

    成功・不成功は,問題ではない。
    それは断行される。
    全体主義が,理性を押し潰す。
    なぜなら, 「戦争」だからである。




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