Up コロナ対策費「55.7兆円」の内訳 作成: 2021-11-23
更新: 2021-11-23


    「55.7兆円」は財政支出の額。
    この額は,国債でつくる (金造り)。

      註: 財政支出は,「国債+財政投融資」となっているが,「財投債」は国債と同じである。

    「財政支出55.7兆円」には,「事業規模78.9兆円」の表現がくっついている。
    これは,「民間融資」の項目を 78.9 − 55.7 = 23.2 兆円の額で立てる,ということである。


    「民間融資23.2兆円」は,経営困窮事業者への民間金融機関の融資規模を 23.2兆円に見積もり,融資する民間金融機関には国が補助・保障を与えるというものである。
    要するに,「国が保証人になるから,安心してどんどん融資してやってくれ」ということ。


    「財政支出55.7兆円」も,経営困窮事業者への保障が中心である。
    その内容は,つぎの通り:
    1. 「中小企業等事業再構築促進事業」
      • 通常枠
        • 補助上限額
          • 「中小企業」: 通常枠6,000万円, 「卒業枠 (中堅企業への成長を目指す)」1億円
          • 「中堅企業」: 通常枠8,000万円, 「グローバルV字回復枠」1億円
      • 特別枠
        • 補助率
          • 中小企業:3/4
          • 中堅企業:2/3
        • 補助上限
          • 従業員5人以下:500万円
          • 従業員6〜20人:1,000万円
          • 従業員21人以上:1,500万円
    2. 「中小事業者に対する月次支援金」
      • 対象
        • 行政措置で休業・時短営業させられた飲食店
        • 外出自粛の影響で売上が減少した中堅・中小事業者
      • 支給上限額:法人 20万円/月、個人事業者等 10万円/月
    3. 「事業承継・引継ぎ補助金」(平たく言って, 「倒産」救援金)
      • 設備投資に対する補助
        • 補助率:2/3,補助上限:400万円(「M&A型」は800万円)
        • 廃業を伴う上乗せ:200万円
      • M&A時の専門家活用費用の補助
        • 補助率:2/3、補助上限:400万円
        • 廃業を伴う上乗せ:200万円 (売り手のみ)
    4. 「低感染リスク型ビジネス枠」
      • 対象 : 中小企業
      • 補助上限・補助率
        • ものづくり補助金:1,000万円・2/3
        • 持続化補助金:100万円・3/4
        • IT導入補助金:450万円・2/3
    5. 「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」
      • 補助率 : 大企業:1/2以内〜1/4以内 中小企業等:2/3以内〜1/4以内
      • 補助上限 : 150億円


    ひとは,「55.7兆円」のような大きな額を示されると,わけがわからなくなって思考停止する。
    思考停止にならないために,つぎのような簡単なシミュレーションをやっておくとよい:
      5000万人に10万円給付で,5兆円
      1000万人に100万円給付で,10兆円
      100万人に1000万円給付で,10兆円
      10万人に1億円給付で,10兆円
      1万人に10億円給付で,10兆円
    ずいぶん途方もない給付に見えるが,合計で 45兆円である。


    ここであなたは, 「そんな金がどこにあるのか?」と思ったかも知れない。
    実際,民主党が政権を取った時分,その民主党は大まじめに「埋蔵金」があると思っていた。
    そしてそれを探したが見つからなかったという次第である。

    答えは,「財源なんて無い」である。
    給付は,給付対象者の銀行口座に「○円」を振り込む作業である。
    この振込は,キーボード作業である。
    「○円」を入力すれば,それで「○円」が発生したことになるのである。

    あなたは「そんな馬鹿な!」と思うかも知れないが,実際これが「金」というものなのである。