Up 厚労省の死亡統計には, 新型コロナの項目無し 作成: 2022-06-04
更新: 2022-06-05


    厚労省は,毎年6月に『人口動態統計月報年計 (概数) の概況』を発表している。
    そして昨日 (3日),今年の分として『令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況』が発表された。


    昨年のもそうだが,『人口動態統計』に「新型コロナ」のことばは1か所しか出て来ない。
    それは
      「結果の概要」, 3 死亡,(2) 死因,① 死因順位
    のつぎのフレーズの中にである:
     「 令和○年の死亡数を死因別にみると、肺炎は○人で ‥‥‥、新型コロナウイルス感染症は○人となっている」

    即ち,令和2年(2020) 版では:
     「 令和2年の死亡者数を死因別にみると、肺炎は 7万8445 人で対前年比 1万7073 人の減少となっており、新型コロナウイルス感染症は、3466 人となっている」
    そして令和3年(2021) 版では:
     「 令和3年の死亡数を死因別にみると、肺炎は 7万3190 人で、新型コロナウイルス感染症は 1万6756 人となっている」


    『人口動態統計』では死亡数・死因は「第6表」に示されるが,この中には「新型コロナ」のことばは出てこない!
    「インフルエンザ」は,「呼吸器系の疾患」のカテゴリーにある。
    「新型コロナ」の項目を設けるとすれば,このカテゴリーになるのだろう。
    しかし,厚生省に「新型コロナ」の項目を設けるつもりは無いようである。
    なぜか?


    ちなみに,死因順位と死亡数が,つぎのようになっている:
      (括弧の数字は,順位)
      死因 2021年 2020年 2019年
      悪性新生物〈腫瘍〉 381,497 (1)  378,385 (1)  376,425 (1) 
      心疾患 (高血圧性を除く) 214,623 (2)  205,596 (2)  207,714 (2) 
      老衰 152,024 (3)  132,440 (3)  121,863 (3) 
      脳血管疾患 104,588 (4)  102,978 (4)  106,552 (4) 
      肺炎 73,190 (5)  78,450 (5)  95,518 (5) 
      誤嚥性肺炎 49,489 (6)  42,746 (6)  40,385 (6) 
      不慮の事故 38,296 (7)  38,133 (7)  39,184 (7) 
      腎不全 28,686 (8)  26,948 (8)  26,644 (8) 
      アルツハイマー病 22,960 (9)  20,852 (9)  20,730(10)
      血管性及び詳細不明の認知症 22,343(10) 20,815(10) 21,394 (9) 

    また,週刊誌などで新型コロナの死亡数と比較されたりする自殺の死亡数は,つぎのようになっている:
      2021年 2020年 2019年
      自殺 20,282 20,243 19,425
      新型コロナ 1,6756 3,466


    なお,厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」では,2020年12月31日までの新型コロナ死亡数累積が 3,459人,2021年12月31日までが 18,393人 となっていて,この数値だと 2021年の新型コロナの死亡数は 14,934人になる。