Up サイトカインストーム 作成: 2022-02-21
更新: 2022-02-21


    昔の格言に,「風邪は万病のもと」というのがある。
    この格言は,年寄りをメインのターゲットにしている。
    年寄りがふつうに死ぬときは病気で死ぬわけだが,風邪はそんな病気の端緒になるというわけ。

    新型コロナは,この風邪の部類であり,ただの風邪である。
    しかし現代人は,風邪では死ぬわけがないと思っているので,新型コロナを「ただの風邪」と見ることができない。
    「ペスト」並みの疫病に見ることを好む。
    (新型コロナが登場したとき,カミュの『ペスト』が売れた!)

    「風邪は万病のもと」の「万病」とは何か?
    サイトカインストーム症候群である。
    風邪は主に呼吸器の炎症だが,これくらいでは人は死なない。
    死ぬときは,これがサイトカインストームに進行して死ぬ。


    新型コロナで死ぬときは,サイトカインストームで死ぬ。
    よって,新型コロナで死ぬためには,新型コロナウイルス感染がサイトカインストームに進行する体質であることが必要である。

    サイトカインストームは,自己免疫疾患である。
    よって,新型コロナで死ぬためには,自己免疫疾患体質であることが必要である。

    自己免疫疾患は,年を取るにつれ重くなる。
    若年者の自己免疫疾患は軽い。

    こうして,新型コロナの死亡数は年齢が進むほど多くなる。
    実際,低年齢層が極端に少なく高齢者が極端に多い。


    「サイトカインストーム」 とは何か?
    免疫学者は,免疫プロセスが細胞間のシグナリングで進行しているというモデルを立てている。
    その彼らがシグナル物質と定めているのが,サイトカインである。
    実体は,化学物質である。

    免疫プロセスモデルは,「サイトカインと白血球のポジティブフィードバック」を措く:
      感染細胞がサイトカインシグナルを放出する
       → A. 白血球がこのシグナルに誘導されて,炎症部位に集まる
       → B. 白血球もサイトカインを放出する
      以下,A, B がループして,サイトカインと白血球の血中濃度が上昇
    ここで「白血球」は,T細胞やマクロファージ等の免疫細胞を指すことば。

    ポジティブフィードバックは,無限ループになる。
    これは,白血球の血中濃度上昇が無際限になるということである。
    「サイトカインストーム」とは,この状態を謂う。


    新型コロナウイルス感染症のサイトカインストームは,播種性血管内凝固症候群を現す:
      肺血栓塞栓症 (→肺水腫),心筋梗塞,脳梗塞,下肢静脈血栓症,
      その他臓器の梗塞,血管内凝固障害

    ここで「肺血栓塞栓症 (→肺水腫)」の意味は:
     「 肺内で血流が滞ると,行き場の無くなった血液からその液体成分が血管の外に漏れ出て,肺を<水浸し>にする」

    肺水腫では,酸素と二酸化炭素の交換ができない。
    即ち,呼吸困難になる。
    新型コロナの報道に「人工呼吸器」が出てくるが,肺水腫症状に対して用いることが主である。


    サイトカインストームで血管の中に血栓がどうしてできるのかは,いろいろ言われてはいるが,わかっていない。

    ふつうに言われているのは:
      免疫細胞の無差別攻撃で,細胞が損傷する。
      その損傷を修復しようとして,血小板の凝集が起こる。
      無差別攻撃が続くことで凝集が続き,凝集が大きくなって血栓になる。

    血小板凝集については,つぎの説──「好中球細胞外トラップ Neutrophil Extracellular Traps (NETs)」──もある:
      NETs は,病原体の捕獲だけでなく,血小板や赤血球も同時に捕獲する。
      これは,血小板凝集を生ずる。
    この NETs で「サイトカインストームで血栓」を説明しようとすれば,つぎのようになる:
      サイトカインストームでは,好中球の増加・活性化がある。
      NETs に制限がかからず,血小板凝集が大きくなって血栓になる。