Up | 薬害 : 要旨 | 作成: 2022-03-08 更新: 2022-03-08 |
実際,高齢者の在宅養生の場合,つぎのようなことが起こりそうである:
例えば,鎮咳剤とか解熱剤とかで医者からステロイド薬を与えられていた者が,新型コロナに感染していながらそれを飲んでしまうという場合。 薬は,毒の転用である。 毒とは,体に異常を起こすもののことを謂う。 薬は,毒の<体に異常を起こす>を逆用しようとするものである。 薬はもともと毒であるから,服用には禁忌がつきものである。 新型コロナの解熱には,ステロイド剤は禁忌である。 新型コロナの解熱剤にされている非ステロイド剤のイブプロフェン,ロキソニンも,妊娠後期の服用は禁忌といったぐあいである ひとは炎症を病気だと思っているが,炎症は免疫反応の現れである。 免疫反応のうちに炎症があるのは,免疫反応がこれを必要とするからである。 ひとは発熱を病気だと思っているが,発熱は免疫反応の現れである。 免疫反応のうちに体温の上昇があるのは,免疫反応がこれを必要とするからである。 抗炎症剤は,免疫反応を阻害することで炎症を抑えようとする。 解熱剤は,免疫反応を阻害することで温度上昇を抑えようとする。 抗炎症剤,解熱剤は,体が必要としていることを抑えようとするものである。 したがって,尋常ならば用いるものではない。 翻って,これが用いられるときは,尋常でないときである。 それはどんなときか? 炎症,高熱による体の衰弱がひどいときである。 炎症,高熱による体の衰弱がひどいとき,<免疫反応の阻害>と<体の衰弱>を天秤に掛ける。 <体の衰弱>がより深刻だとなったとき,<免疫反応の阻害>とトレードオフして,抗炎症剤,解熱剤を用いる。 抗炎症剤,解熱剤は,止むに止まれず用いるというものである。 ひとはこのことを知らない。 安直に薬を求める。 医療も,安直に薬を与える。 これが彼らの商売だからである。 風邪にかかったら,滋養をとって静かに寝ているのみである。 やることはこれが全てであり,これの他には無い。 しかしひとがみなこれをやるようになったら,商売あがったりの者がいる。 彼らは,ひとが自分たちを頼りにするようにつねに画策していかねばならない。 ここに是非はない。 ひとが生きていくとは,そういうことである。 抗炎症剤で死なないために,解熱剤に絞って,解熱剤とは何かをここで改めて押さえておくとしよう。 解熱剤の機序は,つぎのように説明される: プロスタグランジンは,体の様々な機能と関わっている。 プロスタグランジンの発生を阻害することは,プロスタグランジンが関わっている体の様々な機能を阻害することである。 解熱剤の「副作用」と謂っているものは,この機能阻害群を指す。 プロスタグランジン阻害系の解熱剤には,現在つぎのものがある: 解熱効果は,ステロイド薬が非ステロイド薬よりまさる。 一方,ステロイド薬は,免疫細胞のマクロファージの働きを妨げる作用を持つ。 実際この作用により,ステロイド薬は鎮炎症 (免疫反応阻害) 剤としてひろく用いられる。 しかしこの作用故に,体の免疫反応が真に必要とされている状況では,使ってはならないものになる。 新型コロナは,まさにこの場合になる。 解熱剤にはもう1つ「アセトアミノフェン」(非ステロイド薬) があって,これは作用機序が不明な解熱剤である。 作用機序は不明だが,効果が認められるので薬になっている。 解熱効果は,同じ非ステロイド性のイブプロフェン,ロキソニンより低い。 しかし,イブプロフェン, ロキソプロフェンの副作用であるプロスタグランジン阻害症候群のようなものが見つかっていない。 このため,「新型コロナ」のはじめの頃はアセトアミノフェンが解熱剤として使われた。 イブプロフェン,ロキソプロフェンの方は,アセトアミノフェンが品薄になってきたことで追認された,という経緯がある。 |