Up 補償・一律給付──(かね)は無尽蔵 作成: 2020-04-28
更新: 2020-04-28


    「自粛」を強いられる側は,損害補償を求める。
    色々な立場から様々な要求が出てくる。
    政府は,これに応じていく。

    ひとはこのとき,お金の出処のことを考えない。
    何とかなっているんだろうと漠然と思っている。
    それでも, 「税金の再配分」をイメージしているトンチンカンよりはマシである。

    税収は,平成30 (2018)年度で 57.7 兆円。
    このうち
        所得税 19.9 兆円
        消費税 17.7 兆円
        法人税 12.3 兆円
        ──以上の計:49.9 兆円
    これに対し 2018度の歳出は,97.5 兆円。
    そしてこの度の補正予算の財政支出は,39.5 兆円。
    税収がどうのという話では(はな)からない。


    「国の借金 1100兆円」が言われるが,これはもともと返済しないものであるから「借金」ではない。
    国は,金をいくらでもつくれるのである。
    だから,「一律10万円なんてケチ臭いことは言わず,ここはもうヤケクソで一律1000万円だ!」もありなのである。

    どんなふうに進めるか。
    数字を簡単にするために,1億人に一律1000万円としよう。
    この額は,
        1000万 × 1億 = 104+3 × 104+4 = 104+4+4+3
       = 1000 兆 (円)
    「国の借金 1100兆円」が倍になるだけのはなしだ。

    政府は「国民および野党からの要求を調整したらこれだけの額になりました」と言って,補正予算をつくり,国会を通す。

    つぎに, 《政府は国債を1000兆円分発行し,日銀がこれを買う》。
    この内容は,日銀が「自分は国債1000兆円分を買った」を帳簿ファイルに入力し,国が日銀につくっている預金口座に「1000兆円が振り込まれた」を入力する──である。

     註: このやり方は,「ただの金造りでは? なんか危ないことをやってる臭い」が当然返ってくるものである。
    実際,日銀の国債直接引受は,法律で禁じている。──ひとにはこうだと教えている。
    しかしこれはあくまでも「原則として」であって,「国会の手続き (らしいもの) を踏めば直接引受ができる」で運用されているのが実態である。
    Cf. 国債引受規制撤廃主義)


    国民は,民間銀行に預金口座をつくっている。
    《政府は,この預金口座に1000万円を振り込む。》
    この内容は,民間銀行が個人の預金口座に「1000万円が振り込まれた」を入力する──である。

    いまは,通貨形態はデジタルが主流になってきて現金ははやらないとはいえ,やはりけっこうな数の者が銀行から現金を引き出す。
    そこで紙幣の不足が見込まれる。

    このとき政府は,紙幣を増刷する。
    紙幣を造るところは,国立印刷局である。(註 : 硬貨をつくるのは造幣局。)
    造った紙幣は,日銀が引き取る。
    民間銀行は,日銀のなかに預金口座をもっている。
    ひとが民間銀行に出向いて自分の預金口座から現金 (紙幣) を引き出すのと同じように,民間銀行は日銀の自分の預金口座から現金 (紙幣) を引き出す。
    こうして,紙幣が民間銀行に渡る。
    ──そして民間銀行から個人に渡るというわけである。


    「一律1000万円」は成った。
    国民は1000万円をもらってよろこぶ。
    メデタシ,メデタシ。

    ──はて,そうかな?
    <金造り>財政の罰