Up 茨城県全体主義実験 作成: 2020-08-20
更新: 2020-08-20


      読売新聞, 2020-08-19
    接触通知 茨城が義務化
    コロナ対策 条例制定へ
    店舗と利用客 双方登録
     新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、茨城県は、店舗や施設などの事業者に対し、感染者と接触した可能性を通知する県独自システムへの登録を義務づける条例を制定する。 大井川和彦知事が18日、記者会見で明らかにした。 9月の県議会定例会に条例案を提出、10月の施行を目指す。
     東京都が、店舗などに感染防止の取り組みを示すステッカーを掲示するよう求める努力義務を課した条例を設けているが、茨城県の条例の骨子案では、より踏み込み、「しなければならない」と義務規定にした。 県によると、コロナ対策で義務規定の条例を制定するのは全国で初めてという。
     対象の事業者は、キャバレーやカラオケ店のほか、ホテル・旅館、理髪店や美容院、結婚式場や葬儀場など。 事業者には独自システムの「いばらきアマビエちゃん」への登録と専用のQRコード付きの宣誓書を掲示することを義務付ける。 罰則はないが、応じない場合は、勧告後に事業者名を公表する。
     利用客にも来店のたびにQRコードを読み込み、表示された画面からメールを送信して登録することを義務付ける。 他の客の中に感染者がいた場合、接触可能性を知らせるメールを受信することができる。 その結果、検査を受けるといった行動を起こしゃすくする。 条例では、医療従事者などへの差別的な対応を禁止する規定も設ける方針だ。
     県内では6月下旬以降、感染が再び拡大しており、大井川知事は「条例を含めた対策で第2波、第3波の感染拡大に備える」と話している。  


    全体主義は,ひとがパニックに陥り理性がはたらかないときに起きる。
    「新型コロナ」では,全体主義がいろいろな形で現れることになった。
    ただしそれらは概して,消費者の側が<不定>でいられるものであった。

    この記事の茨城県の場合は,消費者の側も<不定>ではいられなくなる。
    ひとは,登録義務を受け入れることを以て,全体主義に加わる。
    よって,茨城県知事が制定しようとする条例は,ひとの全体主義度の観察素材として格別/格好のものになる。

      ただし,この条例が首尾よく議会を通過できるかどうかの問題がある。
      <不定>でいられないことを消費者が嫌うようだと,対象の事業者のところは客がさらに減ることになる。
      「キャバレーやカラオケ店」のようなのが管制対象に限られているときは「他人事(ひとごと)」と済ましていられた「ホテル・旅館、理髪店や美容院、結婚式場や葬儀場など」だが,これが自分のこととなるとどう動くかである。


    「新型コロナ」は,「感染拡大阻止」を考えるものではない。
    感染は,そもそも阻止できないものだからである。
    感染は,当たり前と考えるものである。

    阻止できない感染は,《感染者を掘り出すほど感染者が増える》となるものである。
    「感染拡大阻止」の思考回路の者は,この《感染者を掘り出すほど感染者が増える》を「感染拡大」と言い直して,「感染拡大阻止を対策しなければならない」を唱える。

    「感染拡大阻止を対策しなければならない」のことばにひとが騙されるという状況は,意外に長く続くようである。
    知事たちは,いまだにこのレベルである。
    上の記事の作り手──読売新聞──も,このレベルである。

    そして,感染症学会の「学者」も,このレベルのようである:
      NHK News Web, 2020-08-19
    感染症学会「今は第2波」コロナ
    新型コロナウイルスの感染が広がる中、感染症の専門医などで作る日本感染症学会が19日から東京で始まり、舘田一博理事長が「今、日本は第2波のまっただ中にいる。この先、どう推移するのか注意が必要だ」とする見解を示しました。
     ‥‥‥
    そして「この先も第3波、第4波が来ると予想され、新しい生活様式の中で新型コロナウイルスとつきあっていくことになる。学会として、少しでも重症者を減らし、医療現場を混乱から守るため最新の知見を集めていきたい」と述べました。