Up 「自粛」手当金を国に頼む 作成: 2020-08-02
更新: 2020-08-02


      読売新聞, 2020-08-02
    休業協力金予算 3829億円
    支給38都道府県
    本社調査
     新型コロナウイルスの感染拡大を受け、都道府県の休業要請に応じた事業者に対する協力金の予算額が、支給をしている38都道府県で3829億円に上ることが読売新聞の調査で分かった。 このうち自前の財源で賄う東京都に対し、他の37道府県は9割超を国から配分される地方創生臨時交付金で賄う考えだ。 感染者のさらなる増加で独自に休業要請などを始める自治体もあり、財源確保が課題となっている。
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     政府は2020年度の第1次、第2次補正予算で臨時交付金を計3兆円計上。 都道府県分約1兆2300億円のうち15%程度が協力金に充てられる見通しだ。
     だが、緊急事態宣言解除後にも、全国の新規感染者が7月29日に1000人を突破するなど、感染者は急増。 東京都は酒類を提供する飲食店とカラオケ店に今月3日から営業時間を午後10時までに短縮するよう要請、協力した中小事業者に20万円を支給することを決めた。
     愛知県も5日から、名古屋市中心部で、接待を伴う飲食店やパーのうち、業界団体などの定める指針を守っていない店には休業を要請。 指針を守っている店と、酒類を提供する店には営業時間を午後8時までに短縮するよう求め、時短営業に応じた店には最大20万円の協力金を支払う。
     改正新型インフルエンザ対策特別措置法では、緊急事態宣言の対象となった都道府県の知事は事業者に休業を要請できるが、休業に対する補償は規定していない。 全国知事会は協力金の制度化の検討を国に求めている
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    営業の制限措置,緊急事態宣言は,何回やっても同じである。
    そして,「何回やっても同じ」がわかるまで繰り返されることになる。

    自治体首長が簡単に「自粛」を言えるのは,国に頼れることを見込んでいるからである。
    実際, 「自粛」手当金が自分の負うところであれば,「自粛」は言えなくなる。


    自治体首長は,協力金の財源を国に求める。
    「全国知事会は協力金の制度化の検討を国に求めている」とは,国が協力金を負うよう求めているということである。
    そしてロジックでは,国だと協力金を出せるということになる。
    地方自治体は無理だが国だとできるというわけだ。
    ほんとうか?
    というのも,この国は,毎年財政赤字で「債務残高」がいまや千兆円を超えているのである。

    「国だとできる」は,ほんとうである。
    実は,国には「財源」の問題がない。
    国は,金を造ることができる:
        補正予算作成 → 国会承認 → 日銀による国債引き受け
    実際,「債務残高千兆円超え」は,こうやってつくってきたのである。

    全国知事会が国に求めていることは,実は<金造り>なのである。
    国には,「無い袖は振れない」は無い。
    そしてこの度は,国もほとんどなげやりになっている。
    地方が交付金を求めれば,金を造って与えてくれる。
    ──財政規律は疾うに崩壊しているので,構えて財政規律を言う者はいない。


    GNP が減少の一途なのに対して,ひとの生活にはあまり逼迫感が無い。
    これは,自分の自治体の長の振りを見て,「困れば国が手当てしてくれる」と思うようになっているからである。
    実際,ひとはかなり前から,「金は国に求めればよい──国には金がある」と思うようになった。
    国会議員の予算要求の振りを見て,こう思うようになったわけである。
    そして,悩ましいことに,この思いは確かに一面正しいのである。
    繰り返すが,国には「財源」の問題がない──金は造ればよい。