Up 読売新聞「提言」──軽率から自縄自縛へ 作成: 2020-08-11
更新: 2020-08-11


      読売新聞, 2020-06-22
    感染症に強い社会築け、安心取り戻す医療・経済
    読売新聞社提言
     世界を不意打ちした新型コロナウイルスは、日本で900を超える死者を出し、経済・社会活動を様々な形で止めた。国民の間に大きな不安を広げている。私たちは、これまで盲点となっていた感染症というリスクとしっかりと向き合わなければならない。読売新聞社は、感染症に強い社会を築くための処方箋として、7項目の緊急提言をまとめた。
     ‥‥‥
     我が国は新型コロナの感染爆発をひとまず回避した。安心するのはまだ早い。スペイン風邪は、1918年から計3波にわたり、国内で大流行した。いつ第2波が国内を襲ってもおかしくない。
     ‥‥‥
     ◆スペイン風邪 1918年に米国で発生が確認され、20年頃まで世界的に流行したインフルエンザ。国内の流行は、第1波が18年8月〜19年7月、第2波が19年10月〜20年7月、第3波が20年8月〜21年7月。当時の人口約5700万人のうち、患者数は約2380万人、死者は約39万人に上った。
     ‥‥‥
     提言にあたっては、編集局や調査研究本部、論説委員会の専門記者が検討を重ね、有識者へのインタビューも踏まえ策定した。


    言動は,最初の構えで決まる。
    読売新聞は,つぎの構えによって最初から間違うことになる:
     「 世界を不意打ちした新型コロナウイルスは、日本で900を超える死者を出し、経済・社会活動を様々な形で止めた。」

    「経済・社会活動を様々な形で止めた」のは,新型コロナウイルスではない。
    「有識者」の妄言,マスコミの偏向報道にパニックになり,洗脳されてしまった人間たちである。

    読売新聞はこの「提言」を出すことにより,以降の「新型コロナ」報道の仕方を決めてしまうことになる:
     「 安心するのはまだ早い。スペイン風邪は、1918年から計3波にわたり、国内で大流行した。いつ第2波が国内を襲ってもおかしくない。」
     「 [日本では] 当時の人口約5700万人のうち、患者数は約2380万人、死者は約39万人に上った。」


    この記事が引いている「スペイン風邪」に関する数値は,内務省衛生局発行『流行性感冒』に載っているつぎの数値である:
期間 患者数 死者数
大正7年8月─大正8年7月 2116万8398 25万7363
大正8年9月─大正9年7月 241万2,097 12万7,666
大正9年8月─大正10年7月 22万4,178 3698
2380万4,673 38万8727

    「スペイン風邪」は,インフルエンザである。
    インフルエンザのここ最近3年間の流行状況は,つぎのようになっている:
厚労省「人口動態調査」から
期間 死者数
2019年 3571
2018年 3325
2017年 2569
    また「患者数」は,各年,推計値で「1000万人以上」となっている。

    当時の人の生活水準,そして重症患者に対する医療の水準を思えば,「スペイン風邪」の死亡数はそれほど驚く数ではない。
    最近3年間のインフルエンザが当時流行れば,この死亡数に近くなるかも──といったほどのものである。

    しかし読売新聞は,「スペイン風邪」の数値を相対的に示さないことによって,<とても怖い数値>として報道する。
    実際,読売新聞自身この数値を<とても怖い数値>と受け取ってしまい,そしてこの思いをひとに共有させようとしたわけである。


    読売新聞は,ここまでずっと「自粛」を正義とする報道を行い,このことでひとの生活を破壊することに加担してきた。
    読売新聞はいま,もう引っ込みがつかないと観念しているふうである。
    相変わらず,
      「安心するのはまだ早い。いつ第2波が国内を襲ってもおかしくない。」
    の調子の報道を保っている。
    戦争煽動メディアの<螺旋>を,自らなぞっているわけである。
    NHK と同じである。