Up 観光立国 作成: 2020-03-06
更新: 2020-03-06


      読売新聞, 2020-03-06
    中韓から1500万人
    昨年訪日客の半数
     日本の観光産業は、訪日外国人の半分を占める中国、韓国の観光客に支えられてきた。 政府の新たな水際対策により、両国からの来日者は大幅に限定される見通しだ。 制限が長期化すれば、旅行、航空、百貨店など、幅広い業界のビジネスモデルを根底から揺るがしかねない。
     日本政府観光局によると、2019年に日本を訪れた中国人は959万人、韓国人は558万人で、それぞれ訪日客全体の約3割、2割弱を占めた。 合計すると1500万人を超える。
     新たな水際対策を知った旅行会社の幹部は絶句し、「厳しい状況だ。1500万人分がゼロになるとは」とようやく絞り出した。
     中国政府が海外への団体旅行を禁止した1月末以降、個人客にも訪日を控える動きが広がっており、すでに業界が受けているダメージは大きい。 全国旅行業協会が2月下旬に実施した調査では、旅行会社約730社で訪日客計10万人以上の予約キャンセルがあった。
     大手旅行会社幹部は、「東京五輪・パラリンピックがある今年は、本来は書き入れ時だった。国は一刻も早く対策をまとめてほしい」とうめいた。
     中韓両国からの航空便の到着空港を、成田、関西に制限する要請も新たに加わる。 人員や機材計画の組み直しは避けられず、さらなる減便は必至だ。 全日本空輸の関係者は、「深刻な状況だ」と言葉少なだ。
     個人で訪日することが多い中国人富裕層に売り上げを依存する百貨店の業績も打撃を受けそうだ。 東京・銀座などの旗艦店では、売り上げの2割を免税品が占める店もある。 各社の2月の売上高は、前年比で2割前後も落ち込んでいる。
     関係者は、「春節休暇の後半から中国人客が減り始め、最近はほとんどいない。 以前のようなにぎわいを取り戻すのには、時間がかかりそうだ」と話す。
     理美容家電などの人気が根強い家電量販店も苦しい。 ピックカメラの担当者は、「中国や韓国の観光客がまったく来ない影響は、過去に例がないので予測できない」と困惑する。
     三菱UFJモルガン・スタンレー証券の戸内修自シニア・マーケットエコノミストは、「水際対策の強化でさらに人の流れが滞り、日本経済への悪影響は、もう一段増す可能性がある」と指摘する。


    この事態は,「災難」ではない。
    「観光立国」を立てたときに,リスクとして予定するるものである。
    「中韓から1500万人」がずっと続くかのように業態をつくっているならば,それは「バブル」をやっているのである。

    「観光立国」は,ギャンブル性がひどく強い政策である。
    思慮無くこれに乗っかると,痛い目に遭う。

    ちなみに,「国内感染者数」で目立っている北海道は,「観光で町興し」の廃墟だらけである。
    「観光で町興し」に嵌まって倒産した夕張市で「再生」の役を買った市長が,いま北海道知事として「観光で北海道興し」の先頭に立っている様は,なんとも皮肉である。